主人公と、あとは攻略した順。
普段乙女ゲーは、
一番気になったキャラ→一番苦手そうなキャラ→わりと好きめなキャラ→あまり興味のわかないキャラ→(略)→2番目に気になったか「こいつどう考えてもラストに置くべき」と思ったキャラ
の順で攻略するんですが、今回は1人目の展開の中で満とみらが気になり、彼らに迫れそうなメインキャラから虱潰しに攻略、それから追加キャラ、サブキャラ、シメに桐生の順で遊びました。
■ 望月あんず / 怪盗アプリコット(主人公/CV夏樹リオ)
赤髪ロングストレートのぱっちりお目々少女かわいい。
とにかく生育環境が良いため完全に光属性の愛されガールで心の置き場が一切なく、いやもう何となくで部活中の兄のところに押しかけるの本気でびっくりしたくらいには別世界の人で、自分とはまったく違う人生を全力で堪能させてもらうか、何なら一部攻略対象と同じくこちらまで浄化されるようでした。ゲームの楽しみにはそういうものもあったなと改めて思い出すなど。素直な良い子なので好きではある。
真っ当に年頃の女の子なので先代から与えられた試験を「恥ずかしい」とは言うもののなかなかにガンガンアタックしてたり、命の危険に晒されてもピーピー言うだけで済むし(あれは母の対応も良かったんだと思いますが)、やばめの組織や武器・麻薬の話が出てもしっかり対応できたりするの、10年間の英才教育がものを言ってるなぁと納得いきやすかったのが良かったです。
せっかくの美声で評価も高いので放送部経験が活きる展開やEDがあっても良かったのにな~とは思う一方、怪盗まっしぐらで生きてきたからこそ彼女の中からそういう発想が出なかったと考えるべきか。怪盗にならなかった未来では無限の可能性があると思ってるんですけど、その中のひとつの選択肢にあると良いなぁ。
ところで体力オバケのはずが粉を混ぜるのは疲れるってどういうことだ。使う筋肉が違うのか、所詮女子の体力ということなのか。
■ 屋敷 渉(CV三木眞一郎)
謎のイケメンたこ焼き屋。
パッケージ裏を見て「みきしんキャラいるじゃん……」
取説を見て「わー見た目は一番好k みきしんキャラじゃん……」
紹介文を読んで「どう考えても好みじゃん……」
の3コンボでゲームを起動する前から初周は彼で行くしかないと決めざるを得なかったのですが実際のところ、
無口無愛想、表情の変化が薄く訳ありでいつ死ぬかわからない(たぶん死にたい)から他人を拒絶中ながら元々は優しかったし今も実直なため多方面から人望のある黒髪お兄さん(武道経験者+cvみきしん)でルートによってはストーリーの全貌がわかりまるっと解決に至る
という私特攻属性モリモリ男で「そこまでする??????????」と呻く羽目になったキャラはTAKUYOで通算3人目だと思います。因縁の2003年以前初出のTAKUYO乙女ゲー1作目でこれ、しかも小学生の頃には拗らせていたお兄さん系みきしん声とかもうTAKUYOとは逃れ得ぬ我が運命だったのだと十字を切るしかない。なお選択肢はことごとく外して初周はルートに入りそこねた。運命とは。
序盤では塩対応どころか「無」で、あんずちゃんはめげつつもよく頑張りました。推しまくってる親友とサポーターの効果は大きかった。そんな頑なな屋敷さんも逢瀬(?)を重ねるにつれて氷解していきますが、その様子が「じわじわ」と言うに相応しいほど緩やかで、氷解しても変に陽気になったりせずあくまで淡々と静かに柔らかくなってくのがとっても好みでした。
ところでたこ焼き屋なの、元料理人という経歴を活かしてるのはわかるんですが従妹が関西弁なあたり本人も標準語を話してはいるものの関西にゆかりのある人だからたこ焼きなのかなーと思ってたら、加えて屋台を取り仕切ってるようなやばい団体さんとお関わり合いだからだったのちょっと笑ったというか笑うしかなかったというか。やばい団体さんと接触してでも本懐を遂げようとするところ、本当に実直で一途で情の篤い人なんだなぁとしみじみしましてそれはすなわち好みでした。抗えねえ。
かつて大事な人を失った痛みが今の彼を構成しているため、危険な世界に入り込んでいる自分と関わってはと主人公を拒絶するものの「なら私を守ればいい」という啖呵に根負けしたときは「まじで?! いやあんずちゃんそんな、ただでさえ大変な状況の彼にそんな負担を増やしてはだめでは?! 本人がそう覚悟するならともかく……!」と驚いたんですが、よく考えたら彼の後悔は「助けられなかった」ことなので、その「過ち」を払拭する機会を提示するのはむしろ有効なのか。
だからこそ、暴力を行使する中で守らねばならないはずの「女」を危険に晒す満を見て我が身を振り返り「これじゃだめなんだ」と心底から納得して違う道を選ぶ流れが活きるというものです。
であれば、やれるだけやりきって吹っ切れられる怪盗EDの方が彼は救われるんだろうな。この1年は間違いだったかもしれないけど培ったスキルを活かしたパートナーになれるから無駄ではないし、あんずちゃんも夢を叶えられるし世の中は良くなるし、万事円満優しい世界。
対して怪盗を選ばないEDは屋敷さんも不完全燃焼な上にあんずちゃんに亡くした人の代理をさせる流れになるのが何とも言えない後味の悪さで、なるほどやっぱり怪盗EDがグッドEDで女子高生EDがバッドとは言わないまでもノーマルEDってとこなのかな! と理解したつもりでゲームを進めていったら全然そういうわけでもなかったのが意外というか、屋敷さんは独特のポジションだったみたいでそこを初手でいってしまった私。またか。
アプリコットの正体に思い至る流れがキャラごとに違うのが見どころのひとつですが、直感的に理解する屋敷さん無口で優しい性格に合ってるし何と言うか心底から理解する感じが良かったです。結論、ド好み。ありがとうございました。
■ 河村 元気(CV石田彰)
大人の皮をかぶった少年芸能人。
石田声のショタキャラ初めて摂取したかもしれない(第一声)。
「昼(TV向け)と夜(素顔)とで態度が違いすぎる~!」とあんずちゃんはお嘆きでしたが、冷静に考えて職場のスタッフと夜間自室に押しかけてくる不審者を相手取るにあたってこの程度の差で済んでるのはむしろ温情がある。アプリコットに対して「警察を呼ぶぞ」と言ってくれて私は大変ホッとした。ほんとそれ。あと昼と夜とで別人として接触するお前が言うか問題。
そもそも演技を生業としているめちゃめちゃ賢い相手に見習い怪盗の「嘘」がどこまで通用するんだろうと眺めてましたけど、まぁ見抜かれてましたよね。そうだよね。
そんなこんなで年上のあんずちゃん/アプリコットが振り回される形でふたりの関係が始まりますが、それもそのはず元気くんは子供時代から芸能界で生きてきたため早くに「大人」にならざるを得なかった。そんな彼が友を得て少しずつ快活に、人懐っこくなっていき、恋を覚え、年相応の少年になっていく様は何と言うか、エモかったです。あんずちゃんとふたりで学校体験するシーンとスチル好き。
元気くんにとってアプリコットは唯一だけどアプリコットにとってはそうじゃなかったと分かったときに彼が示す怒りは子供の癇癪で普通に考えればよろしくないものなんだけど、彼に関しては「“子供”が出せて良かったな~」としみじみしてしまいました。
そう、子供なんですよね。あんずちゃんもまだ子供で、元気くんは攻略対象の中では最年少。警察に冤罪の嫌疑がかけられたときも、組織に襲われてもふたりは逃げの一手を取るしかない。特に前者は公務執行妨害とかで余計に立場が悪くなるのではと見ててハラハラしたし、結末を迎えても何ら解決してなくてモヤモヤもしましたが、これはたぶんTAKUYOにおける大人/子供構文のひとつなんだろうな。大きな問題にぶつかった時、大人は立ち向かって解決する。子供はただ逃げ惑い身の安全を確保する。そういう「型」は思えば後の作品にも通じるところがあり、やはりTAKUYOブレないんだよなぁ……。
お陰でみらちゃんとは一番距離が近いキャラのはずなのにほぼ何も情報を得られず残念でしたが。
大人と子供の二面性をアンバランスに抱えている彼が、大人として自己を確立させるのが怪盗ED、子供の自分を取り戻すのがノーマルEDという風情でした。
個人的にはノーマルEDの方が好きでした。上記の通りふたりでの「学校体験」を夢じゃなくし、元気くんが「子供らしい」独占欲を大いに発揮してのびのびしているのが何だか嬉しくて。
怪盗EDは恋に奮起した少年の目覚ましい成長を楽しめる点は好きなんですけど、選択肢次第ではあったものの芸能人の引退を検討する元気くんを止める展開があったのにパートナーになってもらうため結局辞めてもらうことになるのが納得いかず……。
■ 松原 大樹(CV櫻井孝宏)
繊細実直サッカー選手。
じゃあみらちゃんに片思いしてる彼と接触したら情報を得られるかな、と狙ってみたら全然だった上に、あなたのハートをいただくと明言してる怪盗ちゃんに「みらちゃんへのラブレター届けて返事もらってきて!」とか抜かすという、お、お前ーーーーーーーーーーー!! それは人としてやっちゃいけないことだろーーーーーーーーーー!! とびっくりしたんですけどちゃんと挽回してくれて安心しました。「オレ、馬鹿だからさ……」が似合うし実際言っていた気もするんですけど、そういう次元の話ではない。
芸能人にガチ恋している大樹くんですがあんずちゃんにとっても大樹くんは憧れのサッカー選手。互いに「偶像への憧憬から生身の人間への思慕へ」がテーマというか課題になってる話だったのが面白かったです。あんずちゃんを操作するプレイヤー視点としては、「他に好きな人がいる」と明言している相手にアタックすることに後ろめたさがつきまとう辺りが楽しかった。TAKUYOすぐそういうことする。
みらちゃんに振られた後はアプリコットに「憧憬」を移行させるのかとハラハラしましたが、ラブレターのことと言い同じ轍を踏まないところ、そういう努力をするところは感心しました。さすが勝負の世界に生きてるってところでしょうか。
しかしその割にはみらちゃんへのガチ恋でパフォーマンスがガタ落ちだし、メ、メンタル弱、というか繊細なのかなぁ。みらちゃんへの感情も彼女の持つ「暗さ」が気になったみたいで、善良で一途な人とは感じていましたが悲しんでる人を見ると放っておけなくなるような優しさも持ち合わせているのかもしれない。
と思いつつ、スポーツバカは守備範囲外であまり入り込めず全体的に流し見になってしまった感。
EDはー……どっちもあまり好きじゃなかったなぁ。怪盗になる方は互いに精神のみならず具体的なパートナーというかサポート役?が必要な“仕事”なのにそこを空席にしたまま関係継続するの果たして大丈夫なのか疑問だし、怪盗にならないならならないで海外移籍をする大樹くんに速攻でついていっちゃって、いや、気持ちはわかるけど彼もずっとイタリアにいるわけでなし、そこはせめて日本の高校を卒業してからにしませんか……? というか料理ができないのにプロスポーツ選手の伴侶は務まるのか……? と老婆心を発揮してしまい。
何と言うか、それ自体は悪いことではないとは思いつつどちらも「今の自分と相手」しか見えてないあたり、そういえば大樹くんも10代≒子供でしたねとなんともいえない顔で噛み締めています。
■一之瀬 知明(CV井上和彦)
観察力と洞察力に長けた夢追い新聞記者。
とにかく井上さんのボイスが良すぎる。「声を当ててる」という感じが全然しない。ほんとに一之瀬知明という人物が喋っている自然な声だった。すっごかった。
私の記憶にある限りTAKUYO史上トップクラスにできる大人。事前情報ではふざけてるとありましたが、あくまで大人の小粋なジョークやユーモアを飛ばす程度で至って真面目な人だった。TAKUYOあるある。
仕事はきっちりこなし、でも無邪気な心で夢を追うことも忘れない。職業病とも言えそうな癖は出るものの客観的に自覚しつつすぐに謝れるし、相手を気遣った行動を自然と取れる。それでいて自分を押し殺すでもなく、苦しいことは苦しいときちんと伝える。心の均整が取れてる「いい男」でした。保護者も安心して娘を送り出せるというものです。組織のやばさに気づきつつもそれと伝えずあんずちゃんに距離を取るようやんわり伝えるの、大人の対応で感心した。
アプリコットが訪問を続ける条件として詮索の禁止を出していましたが、表に出さない限りは黙って録画録音していても何ら問題ないはずなんですよ。だから後半で記録があることを示唆されても「まぁそりゃそうだよな」くらいにしか思わなかったんですけど、そっちこそが嘘で一切録ってなかった。誠実すぎません? 本当に仕事度外視で、子供の頃からの夢だったんだろうなぁ。
優秀さはEDにも出てまして、あんずちゃんが怪盗になったら全力でサポートするし、ならなくても別の道を示してきっちり幸せにしてくれるんですよ、彼を選んだだけで将来の安泰が決定する超優良物件。すごい。お陰でどっちのEDも好きです。
ひたすら安心感があったのであまり言及することがない。敢えて言うならその有能さで満とみらちゃんの実態にもっと肉薄するかと思いきや意外にそうでもなかったな、くらいでしょうか。
■ 周防 篤(CV関智一)
頭脳派ツンデレ凸凹ケンカップルの片割れ(候補)。
どのキャラも攻略時には周防くんのイベントをひとつこなす必要があって、その割には周防くんは誰ともほとんど接点がなければ話にも絡んでこないし、どんな感じなんだろうーとドキワクしながらプレイしてみたら、めっちゃめちゃ良かった。
これまであんずちゃんと面識はなかったみたいだけど同校同学年ならではの気安さがあって、容赦なく喧嘩腰だしあんずちゃんもつられちゃうやり取りが新鮮でした。ちょっと面食らうレベルではあったものの「なんでいつもこうなっちゃうんだろう」って独白があったので受け入れやすかったです。
んで周防くんは頭脳派で運動ダメ、逆にあんずちゃんは直感型で運動神経が抜群。ほんと顔を合わせると言い合いばっかになるんだけど、凸凹が見事にはまって最強カップル、無限の可能性! て感じが気持ち良いのなんの。
彼の立ち位置は本当に独特で、作中の底を這う組織との関係は間接的、無自覚的なんですよね。だからすごいフラットに向き合えて、かつ人の善性を無邪気に信じていられる「子供」だからこそ迎えられる「ハッピーエンド」みたいな趣があって、いやはやほんと良いルートだった。
絵に描いたような照れ屋なのがまたかわいくてかわいくて。序盤であんずちゃんのこと「放送部」って呼び続けるの、面識はなくても校内放送を聞いて気になってたという遠巻きアピールだったらいいなぁとにこにこしてしまう。正体に気づくのも声経由でしたし。
面識を持ったのも放送室への呼び出しからで、周防くんからの告白も放送室乗っ取りによる校内放送で、「放送部員・望月あんず」との等身大の恋愛に終始してたのがね~かわいいんですよね~。しかし全校放送での公開処刑もとい公開告白の方が恥ずかしいと思うんだけどその辺どうなんだろう。
彼を選んだ上で怪盗になると周防くんの夢に引きずられて「怪盗」の意味合いが変わるのが、しかもそれが夢溢れる方向性だったのがまた好きでした。彼は謎に磁場が強い。話のジャンルすら変えた感ある。もちろん「インディ・ジョーンズだ!?」とは心の中で叫びました。
ノーマルEDは、キラキラしてるふたりが夢を諦めるのがもったいないけど学生生活を満喫してるのもかわいくて悩ましい。追いかけっこで10秒ハンデを堂々と要求できるところがなんか、良い関係を築けてるんだなぁと微笑ましかったです。
■ 水島 満(CV櫻井孝宏)
そんなわけでターゲット5人を射止めても何も分からなかった黒幕さんにいよいよ向かいました。
周防くんと同じくどのキャラを攻略するのでも彼と面識を持つ必要はあり、温和で優しい人なんだろうなぁとは思ってたんですけど、それにしてもどのルートでもアプリコットへの対応が甘すぎる。彼とのイベントも進めてる前提の反応なのか? と訝しんでましたが、それもあるんだろうけどむしろ「恩人に似てるから」の線が強そうで、「そりゃ強く出れませんわな!!」と納得するしかなかった。運命性が強い。あんずちゃんの反応といい、前世からの付き合いのような風情。
しかし根は温和で妹想いで訳ありとはいえ、現役で人を殺しまくってるマフィアのドンとの駆け落ちはさすがにだめでは? と思ってたのに、
「すべてがどうでも良かった、分かってもらおうなんて思わなかったのに、君に受け入れられること、君に許されることは嬉しい」(※意訳)
だの
「黒く染まっていく自分が嫌だった、雪を見ると白かった自分に戻れるようで」(※意訳)
とか言われると重大なセキュリティホールに引っかかって可になってしまうんだ。うわーーーーーーーーーーーーーー馬鹿馬鹿馬鹿幸せになれ!!!!(※セキュリティホール)
それであの結末はちょっと ちょっと なんてことをしてくれるのか ひどい
何だろう、何と言うか、純粋すぎた人。彼の主張を聞いてるだけで危ういなぁと思うくらいには純粋だった。こういう人がまっとうに生きられる世界があれば良いのにね……。
■ 水島 みら(CV浅田葉子)
流れで彼女の話も。ゆ、友情ED欲しかったなぁ! 可愛い女の子と仲良くなるのは良いことです。
お人形さんのような見た目で儚かわいい、まさに絵に描いたような美少女でした。大樹くんがそう思ったように「守りたくなる」タイプ。
でもそれで収まりきらないのが女性向けゲームならではと言いますか、自分を守るために優しかった兄がどんどん悪事に手を染めていく現実に耐えられず「私のせいなの?」と自死を図るシーンはハッとさせられたし「これよ」と強く思った。良い経験をさせてもらいました。兄妹揃って高飛びできたルートでは兄妹仲睦まじく幸せになって欲しいなぁ。
■ 綾瀬 望(CV伊藤健太郎)
善良なる探偵見習い。
女怪盗を追う探偵と言うと「新聞記者の一之瀬さんと立ち位置かぶってないか?」と思ってたんですけど、蓋を開けたら全然だった。周防くんと同じくあんずちゃんの同校同学年な彼はつまるところ周防くんやあんずちゃんと同じく「未熟だからこそポテンシャルが天井知らず」の者で、かつ周防くんと違って同クラス(どころか隣の席)だった彼は誰より望月あんずという人間に近しいが故の関係性の発展のさせ方をしていくのが大層良かったです。
頭が良く礼儀正しくとにかく優しい、気遣いがすごい、それが口調にも表れていて言葉の響きが心地よい、つまり好みでした。生きてるのが楽しくてしょうがないって感じでいつもキラキラしてて、見てるだけで元気をもらえるキャラ。
イベントで足音を聞き分けて人物を当てる訓練をしてたので、アプリコットがあんずちゃんだと気づくのはその線で来るかなと思ったら全然だったのちょっと笑ってしまった。けどそれだけ彼は「未熟」な「子供」で、それでも気づけたのはアプリコットが出現するより「ずっと前から君が好きだったから」という流れは喝采する他ない。
そして彼も彼で親の代から女怪盗と因縁があって、う、運命性が強い。
■ 藤巻瑞希(CV笹島かほる)
もう一人の女怪盗(女怪盗ではない)。
女友達は既にいるけどもうひとりの女友達ポジションかな~男子校に通う男装少女なのかな~それはそれで主人公では? でも名前は「あやめ」じゃないんだね、と思ったら普通に男の子だったしあやめは親だった。
つまり女声少年です今時貴重! ありがとうございます! こういうのもっとほしいです!!
という欲望丸出しな感想はさておいて、親の未練や恨みを子に背負わせるのがまずいただけないんだけど、年頃の少年に異性装と殺人を強要するのはさすがにドン引いてしまった。先代が活動を止めてからひたすら怪盗やってたら世の支持は自分のものにできて乗っ取れたのでは?
あんずちゃんとの対称性がえぐいレベルなんですよね……選ばれなかった姉の息子と選ばれた妹の娘……愛された陽気な娘と道具にされた陰気な息子……。彼の過ごした年月は本当に苦しいものだったと思うんですけど、運命の相手に選ばれたことによってそれらすべてを肯定できるようになるのはとても救いのある話でほっとしました。最強怪盗コンビとして幸せになってほしい。
はっきり言ってしまえば「性癖ですありがとうございました」だった。いやもうほんとに、陰気男と陽気女のカップルとか、初対面第一声が「……何か?」という超絶塩対応とか、それで実は幼少期に会ったことがある初恋相手だったとか運命性が強すぎでは? ありがとうございました。瑞希くん幸せになってほしすぎて他のキャラに行ってる場合ではないまである。
■ 望月 草(CV小西克幸)
万能王子様系シスコン兄。
シスコンというか妹最優先ぶりがすごい。部活中に入ってきても演奏や部員の対応をほっぽりだして相手をするのが当たり前だ文句は言わせないとか、行きたいことやりたいことがあるけど妹には話せなくてでもそれで妹が悲しむならすっぱりやめるとか「まじかよ」って口からこぼれた。
音楽の素養が強い天然系温和王子様なお兄ちゃんぶりに『ひめひび 1学期』の尚仁お兄ちゃんを思い出しました。あと動物好きなの嬉しかったです、動物好きキャラ好き。
工学も強いし実際アプリコットの活動は兄の協力なくては成り立たず、あまりに無敵のパートナーなのでもうこのまま兄妹仲睦まじくやってくのでも良いのでは? 他人必要? と思うレベルでいつものTAKUYOの罠。でも望月家、今代すら怪盗を継がせる気が薄めだし血が途絶えてもまったく問題なさそうなのがまた何とも。
演奏家兄妹としての未来も良いとは思うけど実力差がすごそうで心配なのと、留学を蹴るのはもったいなさすぎて悩ましい。
個人的には「仲の良すぎる兄妹」って感じに終始してたのは助かったかなぁ。きょうだいでの恋愛はあまり求めていないので……。
感想とは離れるんですけどここしばらく悩んでいたことに彼からアンサーをもらいまして、「これだからTAKUYOは」ってなってますありがとうございました。
■ 望月あざみ(沢海陽子)
肝の据わり方も神経衰弱も強い母。娘の「殺されそうになった」という泣きつきに「へー」のノリで済ますの、愛と信頼が強すぎる。
父親との共同作業だったようではありますが、治安向上と問題組織の一掃と娘の夢を叶えさせることと娘のまともな幸せへの願いのすべてを兼ね備えた候補選び、すごい。
美人だし音楽家としても評価が高いようで、これだけ無敵の母だからこそ「姉のことだけはどうにもならなかったんだな」という絶望感と家族やきょうだいの関係の難しさに途方に暮れる。瑞希くん幸せになってくれ。
■ 佐藤先生(CV松本保典)
TAKUYO名物「ちゃらんぽらんに見せかけて生徒のことよく見てる有能優しい教師」だ~! とはしゃぎながら化学室に通っていたら先生だ~とか言ってる場合じゃなくて「?!」てなった。松本保典さんの声は思い入れがあるので起用嬉しいけど恋愛対象じゃないの残念だなぁ……。
好きだけどミニゲームの難易度ゆるしてないからな(好きです)。
■ 赤井 諒子(CV茂呂田かおる)
関西弁女友達。
とにかくかわいい。どの結末を迎えたとしても一生親友やってて欲しい。放送室でのカラオケ楽しかったしスチルも好き。
好きな人をあんずちゃんにだけは言えないのはターゲットだったからだと思うんですが、それはつまりあんずちゃんが選んでたら黙って引き下がっていたということでもあり。さすがに献身的すぎて、あんずちゃんも頼りっぱなしだと自覚していましたがちゃんと対等に親友できてるのか心配になりました。順当に考えれば推しまくってた彼のことかなとは察すれど確信は持てていない。
それにしても親友とは言え家業を伝えちゃって良かったのだろうか。大丈夫と判断したからなんだろうし、隠し事をしないで済む人間関係の形成はまぁ大事だよなぁとは思うんですが。
■ 桐生 恭介(CV結城比呂)(※現・優希比呂)
TAKUYO名物ラスボス。
ターゲットから外れ会話相手としても選択できず主人公の恋のサポーターに徹する男、どう考えてもラスボスじゃん!! と最後に回したらマジでラスボスだった。ラスボスとは。すまん感じて欲しい。
目つき悪くて口も悪くて態度もでかくて押しも強いけど、実態としてはめちゃくちゃ引いて相手を尊重し、唯一無二である女の夢の応援に徹するお坊ちゃん、オタクとしての最も古い傷に触れるキャラ造形なので好印象しかなかった。ちょっと強すぎでは。
サポーターに徹してるからこそ序盤はしゃしゃり出てくるものの会話は薄味で、ルートに入ってから、というかあんずちゃんが脈アリになってからの怒涛の後半戦は美味しゅうございました。勢い余った押し倒しと即座に冷静になって退去するところはニヤニヤしてしまった。
そう、本作のOPでも謳われてるけどTAKUYOゲーってなんか「女主人公が男を落とす」ゲームでありながら「選ばれた男が女主人公を落とす」面もあるんですよね。恭介くんはその実行を命令されるものの反発し、けどその流れが来ていると分かれば誰の命令でもなく自分の意志で獲りに行く。それでちゃんとあんずちゃんも彼を好きになる。もちろん他のキャラでも言えることなんだけど、主人公がちゃんと相手に心を寄せていく、その感情の機微が描かれてる乙女ゲーが昔から好きで、今TAKUYOに落ち着いてる理由がさらに分かった気がしました。
怪盗と組長の息子のカップル、闇の治安に安心感しかないので怪盗になるEDを推しますが、ノーマルEDもド直球告白が若気と男気の合せ技って感じで捨てがたい。
ところで項目を立てるほどでもないかなと青木さんすっ飛ばしちゃいましたが。狙うなら防弾チョッキで守れる心臓じゃなくて頭が基本だとアメドラで習ったんですけど、どんな慢心だ?