(※初出:2017.11.27)
やっと気持ちに一区切りついたので、しばらく書いていければ。
今回は、
苦手意識が拭えないまま手を出したはいいものの、やっぱり大嫌いを具現化したような作品で、苦痛に耐えながらもあれやこれやで進めてたら、大好きど真ん中の作品でもあると気づいた。
という話を、だらだら書いています。sn(RN)のネタバレがうっすらあり。他のゲームの話もちょろっと出てきますが、知らなくてもたぶん大丈夫です。
■ GO以前――避け続け、3度挫折したFateシリーズ
『空の境界』『月姫』『Fate』「TYPE-MOON」「奈須きのこ」――この辺りの名はリアルタイムで耳にしていましたが、私は頑として避け続けてきました。理由はこのあたり。
周囲で人気の作品は肌に合わないことが多かった
メジャージャンルの賑わい怖い
18禁苦手
それでも、どうも私好みの要素もあるらしく。特に『Fate』シリーズはおすすめされることが何度かあり、記憶にある限り3度ほど手を出そうとして、3度とも挫折しました。
1度目の挑戦は、TVアニメUBW0話。約1時間、延々と喋られるのが苦痛だったし、情報量が多すぎて処理できませんでした。(凛ちゃんはかわいいと思った)
2度目の挑戦は、スマホ版『Fate』。シリーズの原点、しかも無料なら試す好機! だが「お使いの端末には対応していません」のメッセージで敢えなく敗走。
3度目の挑戦は、『蒼銀のフラグメンツ』1巻。こちらはUBWとは逆に、情報量が少なすぎて話に入り込めませんでした。(愛歌様は最高だなと思った)
やはり私は『Fate』と縁がないに違いない――ひとまずそう結論づけたのが、2016年1月のことです。一方、目に留まり続けるものもありました。佐々木小次郎です。
■ GO開始――4度目の佐々木小次郎
『Fate』シリーズの佐々木小次郎は、容姿とCVが非の打ち所なく私好みです。
たしか「実は佐々木小次郎ではない」という話も漏れ聞こえてましたが、佐々木小次郎に関心を持ったことがない私には都合が良く。むしろ違う人物が佐々木小次郎になっている状況が気になりました。
が、そんな興味も改めて『Fate』シリーズに手を出させるほどのものではありませんでした。似た容姿、同じCVのキャラなら他の作品にもいる。中身や立ち位置まで好みかは分からないし、そもそも彼が登場するというTVアニメUBWも入り口でつまずいているのです。
たまに見かけては目の保養にする、それくらいで十分だ――そう思っていた2016年5月、「佐々木小次郎が確実にすぐ入手できる」という触れ込みで『GO』をおすすめされました。
もちろん、私はまったく気乗りがしませんでした。『Fate』シリーズへの苦手意識は当初より増していたし、基本無料のガチャスマゲー嫌い、JRPG嫌い精神がさらに忌避感を募らせ、だがその10日後Twitterで流れてきた『GO』2次創作漫画を見て「あ、中身も好みだな」と確信してあっさりインストールした。この間、わずか5分だった。
そして、まさしく。その確信こそが罠であり。ここから先は地獄だったのだ。
■ 苦痛でしかなかった序章
『GO』における佐々木小次郎は☆1です。ガチャゲーへの不満の1つである「欲しいキャラが手に入らない」問題とは無縁で、触れ込み通り開始2日目にしてあっさり入手できました。が、1日目の序章で苦痛をぶっちぎっていました。
まずロードがいちいち長い。用語や世界観がわからなくて置いてけぼりを食らってる感も凄まじい。メインキャラには愛着を持てないどころか全員苦手でした。
主人公も、好き勝手にキャラ性を妄想できるかと思いきや、選択肢でよく喋る。しかも選択肢、どれも気が合わない。もっと言うと、主人公の性別で変化する要素がことごとくコレジャナイ。完全に心の置き場がありませんでした。
戦闘も大の苦手なターン制バトル。待ち時間がどうもダメなんですよ。アクションゲームみたいにずっと操作させて欲しい。なんなら『刀剣乱舞』みたいに完全に放置させて欲しい。いっそ戦闘がない読みゲーの方が助かる。
戦闘演出の早送り機能はあるけど、希望より全然遅い。宝具演出の完全スキップがないとか、運営は舐めてるのでは?
ことごとく! 嫌いな要素だ! ずっと避けてきた要素だ! なんで私はこの期に及んでこんな思いをしなくちゃいけないんだ!
と呻きに呻きましたが、序章クリア頃には何となく付き合い方を理解したのもあり、そして先達からのあたたかい励ましもあり、とりあえず佐々木小次郎を最終再臨させて絆LVを5(※当時の上限)にするまでは頑張ることにしました。死んだ目で。
思えば、4度目の挑戦も入り口で盛大に失敗していました。ですがこの時だけは、先に進んだ。ここで私と『Fate』シリーズは、新たな道を辿り始めました。
■ 絶妙に釣られながら突き進んだ下総までの1年半
とは言え、☆1の最終再臨も絆LVを5まで上げるのも楽なもの。たしか1章を終えるまでにはあっさり達成し、2章クリア後に開放される佐々木小次郎の幕間を終えると目標を失い、眼精疲労も相俟ってプレイを中断していました。
このままフェードアウトしそうでしたが、罠はまだ用意されていました。我が宗教案件、源頼光限定ピックアップと「鬼ヶ島」イベントでの登場です。
寡聞ながら、頼光は私の中で特別な人物です。「羅生門」イベント時には既に『GO』を始めてましたが、あまりにひよっこで参加を見送っていたのです。それが! まさかの! 続編! しかもいよいよ頼光登場!
私は完全に息を吹き返し、小次郎を筆頭に日本勢で鬼ヶ島を巡り(イベントボーナス特攻おいしかったです)、そのままメインクエストを進めながら石をかき集めました。とかやってたら俵藤太の実装と6章登場ですよ。武士の祖とも言える藤太! しかも男だ! さらに大好きなポニテ! フォーウ!!(雄叫び)
小次郎が登場する夏2016イベントはしっかり堪能し、終わればまたメインクエストに戻り、だが6章初戦で詰まって再び1ヶ月放置。それでも藤太見たさに再開し、気づけば1部終章のレイドボスイベントに元気に参加してました。
この間に絆LVの上限が10に引き上げられ、聖杯の使用も解禁。これもプレイ意欲昂進になりました。手持ちの聖杯はすべて小次郎に捧げ、全戦闘に参加。1部終章時点でLV96、スキルLV10/9/10、絆LV9に到達し、大活躍してもらいました。
あと少しだけプレイして、すべてを強化完了したら終わりにしよう――そう思っていたのに、正月の「英霊剣豪七番勝負」発表と宮本武蔵の先行ピックアップです。則ち佐々木小次郎が出る。これまでメインクエストには一切出なかった彼が。出る。やるしかない。腹をくくり、その日に備えてすべてをこなしました。
ええ、メインクエストはもちろんのこと。単調な種火集めとサーヴァント強化も。ぶっ飛んだイベントとそれに伴う素材集めも。洒落抜きで頭が痛くなる高難度クエストも。すべてです。
そして2017年10月。一切完勝を果たすと糸が切れたように丸一日呆然とし、それから数日ほど断続的に号泣しました。完全に要・休息案件である。
でもまだやってるんだ。ほら、HPとATKの強化上限も引き上げられたからさ。2000にするまでは、やめられないよね。とか言いながら、サービス終了までプレイしてるんだろうなぁ。
■ 「大嫌い」から「大嫌いだし大好き」へ
そんなこんなで地獄の1年半でしたが。時間が経過し、一部関連作品に触れ、シリーズの空気が何となくわかってくると。なるほど、私好みの要素もたくさん詰まっていることに気づいていきました。
気高くも凛と美しい女性キャラ。少年漫画のようなアツさと少女漫画のようなロマンチック要素。7章における絶望的なまでの神話体験には「アイムホーム!!」と騒いだものです。
戦闘も高難度と真剣に向き合ってみれば、敵味方の特性を見極め編成を決める重要性はSLGのごとく。一手一手が油断できない緊張感はアクションゲームのごとく。そして、戦闘を通して起きるすべての出来事を自分だけの物語として受容できそうな感覚は、大好きな『俺の屍を越えてゆけ』や『刀剣乱舞』のようでした。
脳内補完ストーリー構築は、戦闘に限らなくても良さそうだ――そう気づいたのは、2017年6月に配信された「アガルタの女」と、それに対するTwitter上での論争がきっかけでした。あれだけ固定化されたストーリーなのに、プレイヤーの受け取り方も、想定されている主人公の心情も、実に様々だったのです。
ならば、私も主人公の心情をもっと自由に考えて良いのでは。
そもそもストーリー自体、自分のカルデアにはいないサーヴァントが当たり前のように登場する。ということは、あれは別のカルデアにおけるモデルケースなのでは。基本的な流れさえ押さえておけば、詳細は当カルデアに合わせて改変しても良いのでは。
うん。まぁ。邪道な遊び方の気もするんですけど。このシリーズ、平行世界があるし。そうした設定も強い後押しになりました。気に入らない人は剪定事象とみなして回れ右してくれ。
■ システムとストーリーが噛み合う気持ちよさ
さて、ふしぎなことになりました。『GO』開始前にわずかに抱いていた期待は、序章で完膚なきまでに叩き潰された――そのはずだったのに1年後には、期待していた以上に好きな遊び方をして大丈夫という結論に至ってしまったのです。
多くの不満が解消され、改めて『GO』と向き合うと。残った不満要素を含めたゲーム性全体に、納得が行ってしまいました。
高難度の戦闘で勝利するには、自分の手駒を鍛えておけば良い。その道程は遅々として進みません。はい。種火も素材もシブいシブい。けれどそれにめげない日々の積み重ねが、晴れの舞台での力の、唯一の源泉となる。
それで及ばなくても当たり前。独りで邁進するのではなく他者(フレンド)の力を借りれば、理想を手にできる。
ガチャやレアリティは、ストーリーと設定内の召喚システムと見事に噛み合っていました。そして高レア優遇というわけでもない。たしかに強いサーヴァントがいれば楽です。でも、彼らにも弱点や苦手な相手はある。低レアのサーヴァントの方が、うまく敵と噛み合うことも多い。そういう意味では、すべてのサーヴァントが対等でした。
ターン制バトルシステムは、主人公の戦いをまさしく体現していました。直接は戦えないまでも、英霊たちを誰よりそばで見守り、指示を出し、時に補助をして“戦う”。そんな主人公だからこそ成り立つ物語が『GO』でした。ならば、宝具スキップができないことも、うなずけてしまう。ここはまだうまく言語化できないのですが。
私の好きなゲームの特徴の1つに、「システムが雄弁に世界観と物語を語る」というものがあります。『GO』はその通りのゲームだ――そう気づいた時、不満を言う気は私の中から消え失せてしまいました。よくできたゲームですよ、ほんと。
■ オタクの理想を実現するスタッフに最大限の敬意を
となるとですね。このゲーム、ユーザーへの接待ゲームじゃないんですよ。「おれのかんがえたさいきょうのゲームを食らえ!(強攻撃)」なんです。バトルグラフィック改修もその一環なんでしょう。商業作品でこれ。それでアホみたいに売れてるの。なんだこれ。
正直恐ろしいし、オタクとしては夢の実現にも程があって羨ましいし、嬉しい。だからなんか、見ていたくなるんですよね。
だるいし面倒だし苦痛だけど、もう分かったから、そのまま行けるところまで突っ走ってほしい。こっちもできる範囲で適当にやってくから、構わず全力でやらかしてほしい。
ただ労働環境が真っ黒な気しかしないから、そこだけどうにかしてほしい。ここまでこだわると精鋭で行くしかないのも分かるけど、長く走っていくためにも体と技術と法は大事にしてほしいです。
いや、でも、これで10年選手なわけだからな。いらん心配なのかな。でもな。