本誌281話 天才・秀才と凪・玲王

春頃
·
公開:2024/11/4

本誌281話を読んで絵心さん理論と凪・玲王について思いを馳せたので頭の整理のためにまとめた。281話の感想ではないし考察といえるものでもない。

当然以下ネタバレ有り。


281話で絵心の天才と秀才の定義

いったん潔の分析を含めずに書き出す。

  • 天才

    →『他とは違う特別な特徴を持って生まれた人間』

    (凪、馬狼、蜂楽など)

  • 秀才

    →天才の持つ『特別変異の才能』を『世界の標準にしていく人間』

    (玲王、烏、シャルル)

参考までに潔の天才の分析もまとめる。

  • 天才

    →想像を超えた『身体能力』・理解不能なゴールへの『衝動』・人間離れした『哲学』を持つ

    →秀才にはない『想像力(イマジネーション)』がある

世界のスタンダードを変えていく≒進化していく。これを読んで思い浮かんだのは陸上競技だった。100メートル走の10秒という壁があったが最近では何人もその壁を破っている。それは一人が破ったことにより他の選手の心理的な壁が取り払われたとも、技術やトレーニング環境によって次々と破られるようになったとも言われていた。フィギュアスケートの4回転ジャンプなんかもこれにあてはまるのではないか。

これが世界のスタンダードが変わる、競技が進化していくということだろう。

ここに絵心の言う『天才』と『秀才』の区別を当てはめるのなら、記録を破る一人目が『天才』であり技術やトレーニング等により二人目以降となるのが『秀才』といったところだろうか。


絵心の言う両輪って

  1. 天才が特別な才能からスーパープレー生み出す

  2. 秀才がそれを分析し攻略、あるいは実現性と再現性を高めスタンダードにする

  3. それに対して天才が更にそれを上回るスーパープレーを放つ

というのを繰り返していくことによって競技が進化していくということだろう。秀才は天才を分析・攻略し、天才は生き残りをかけてさらにそれを上回るプレーを唯一無二の想像力で生み出す。

これが両輪の意味だと思う。


じゃあ凪・玲王は

では凪・玲王を考えてみる。

個々人で見ると凪・玲王が絵心にとって代表的な『天才』と『秀才』なのだろう。

凪が『天才』であることは言うまでもないが、玲王は106話で“並の人間が努力しても辿り着けない100点満点以上の突出した武器を持つ相手にMax99点止まりの自分がどう戦うか”のアンサーとしてコピーという武器を生み出している。

『秀才』である自分がどう『天才』に対処するかを導き出していると言える。

しかもコピー≒天才ではない秀才が天才のプレーを再現していくという戦術だ。U20戦では『天才』の代表格・凪の吸収トラップ、タップリフトからのジャンピングターンシュートもコピーしてDFに応用した。天才のプレーを再現する『秀才』の鑑である。絵心側の描写は無かったが、カメレオンを生み出した瞬間は絵心もニッコリだったのではないだろうか。

玲王は戦術としても『秀才』型プレイヤーとして絵心理論のもと『天才』と十分に渡り合えるポテンシャルがある。

凪はどうか。自分を置き去りにして進化していくライバルたちの中、生き残りをかけて変わっていくしかないと玲王に告げている。凪も絵心理論の中での目指す方向性は自覚済みな気がする。

そういうわけで、ブルーロックにいながら『二人で世界一』を目指すという逆ルートを走る二人でありながらも、凪・玲王は絵心理論を当てはめることが可能でありむしろお手本のようなキャラクターなのかもしれない。

ただ、絵心の言う『天才』と『秀才』の両輪関係はお互いがお互いを攻略していく関係だ。両輪は凪・玲王が目指す『二人で世界一』の関係ではない。

二人の関係性のベストな在り方は二人が描かれた時にしか語られないのだろう。


凪・玲王への伏線?

281話では『天才』『秀才』のそれぞれの才能の定義部分がそのまま凪・玲王コンビを思い起こさせた。

(天才による)革新は現代社会において天才ひとりで成し遂げられるものでは決してない。

天才の種を「見つけて」、

「価値を理解」し、

世界に「伝える」別の才能が必要。

意識してエピソード凪の『〈天才〉は見つける者がいて初めてその輪郭を成す』と表現を重ねている気がする。

なんなら『秀才』が『天才』の持つ種を分析し攻略して世界のスタンダードにしていくという理論を語るだけなら上記の「見つける」「価値を理解する」「伝える」部分は必要ない。なぜなら潔が対峙しているキャラクターの「見つけられ」「価値を理解され」「伝えられ」た部分は潔にとって枝葉であるからだ。潔はその部分を終え天才として才能を開花させている天才と対峙している。

なのでわざわざエピソード凪と似たフレーズで、潔の覚醒には直接必要のない『天才』と『秀才』の部分が語られたことにより、今後凪の真の覚醒が本誌で描く伏線なのかもしれないと思った。

また、エピソード凪では最終戦において凪が自分のエゴを知るフラグが立ってきた。その試合でも繰り返し『想像力(イマジネーション)』という本誌において『天才』に連なるワードが出てきている。

いよいの凪の方も仕上げにかかっているような雰囲気だ。

そもそも本誌でわざわざ玲王に策があると言わせた描写があるので描かない訳はないだろうと思うが、いよいよ凪が完全覚醒しそうで個人的にはワクワクしている。