太田記念美術館『広重ブルー』

春頃
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公開:2024/11/12

太田記念美術館『広重ブルー』後期を見に行った。ベロ藍を用いた作品を中心とした展示ということで、水の青が印象的な作品が多かった。

そもそもベロ藍というのはベルリンの染料技術者がたまたま産んだ人工の顔料らしい。それが江戸時代に輸入されたのだとか。

それまでは植物由来の染料を使っていたが色褪せが激しく、青さが失われてしまった作品が比較として展示されていた。それに比べるとベロ藍は今でも美しい青を保っているのだから凄い。

また、ベロ藍は粒子が細かくグラデーションを作ることができ表現の幅が広がったのだそう。言われてみれば、確かに川や海の奥行き、空の奥行き、滝などはグラデーションがある方が迫力があるのかもしれない。グラデーションの表現の違いも展示されていたので、それを見ると一目瞭然であった。

たまたま生まれた染料により美術が発展していくのは面白いし興味深いと感じる。


また、構図としては月夜・橋の柱・川のモチーフの絵が好きだった。

ぽっかりと白い月が浮かんだ青い夜空に青い川、どっしりとした橋の柱がその空と川を縦断している構図は沢山展示されていたように思われたがどれも魅力的に映った。

それから赤い雲も素敵だった。赤と青のグラデーションというのか、その色の移り変わりや対比に強く惹かれる。

前期の展示も見たかった。


今回の展示は一階と二階のみだったので少し少なく感じた。それでもやはり人は多く、特に海外旅行客の団体がいたのが印象的だった。おそらくツアー客であるが、原宿・表参道の一角にいかにも日本らしい浮世絵の美術館があるのはお得感があるかもしれない。

推し活の一環としてアクスタと。