『アガサ オール アロング』が10/31に最終話の配信をむかえた。
魔女たち一人ひとりの物語、9話通して全てが繋がる物語と描かれたオリジンに鑑賞後にどっぷり余韻に浸った。こんなに毎週楽しみに配信を待つのは久しぶりだった!
一応ネタバレ有り感想になるので以下注意。
魔女たちの物語
私が感じたこのドラマの魅力の一つは一人ひとりの魔女たちにフォーカスされ、それぞれの物語が描かれた点。
何らかの理由で力を奪われた魔女たちが『魔女の道』で『力』を取り戻す物語。それがファンタジー冒険物語としても、女性の物語としても、面白い。
ジェン、アリス、リリアのシスターフッドと彼女らが『力』や『自分』を取り戻すストーリーでキャラクターが大好きになった。
特にリリアの物語の、今まではられていた伏線を回収しながらバラバラになった時間軸を駆け巡るストーリーにはゾクゾクした。そして最後はリリアが『魔女』としての『自分』を得て死に至り、若かりし頃に戻るという綺麗な円環を描いた神回だった。リリア大好き。
主人公のアガサは最後まで『魔女』であったが、最初から悪い魔女だったわけではなく……ということもなく、ずっと『魔女』だった。
邪悪な魔女であったとしても誰かを愛することはあるし絆されることだってある。その悪と愛が両立するという姿がかっこよかった。
その愛もロマンス的=恋愛としての愛と、子に対する親の愛と二種類の愛があり、さらにはティーンの善性と我が子の善性を重ねて彼を愛おしく思う心を見せた。そのキャラクター造形がとても魅力的だしこのドラマの肝だったと思う。
『魔女の道』とオリジン
ドラマを通して度々歌われた『魔女の道』という歌。シンプルに歌としてクセになると思ったら作曲がロペス夫妻(『アナ雪』『リメンバー・ミー』)だった。なるほど。
そして『魔女の道』が物語のキーになっており、全てが『魔女の道』から始まり、全てがアガサから始まっている。タイトル通り『アガサ オールアロング』である。秀逸だ。
この『魔女の道』であるが、初回では魔女の歌う伝統的な怪しげなバラッドとして、アリスの回では子を想う母の歌として登場した。
最初に聞いた時はミュージカルの第一部盛り上がり曲みたいな感じでワクワクした。そしてアリスのバージョンは“魔女たちに伝わる歌に子を守る魔法を込めた母の愛”というバックグラウンドが加わった。怪しげなバラッドがそれだけではない願いの曲の面を見せたのが面白かった。
そしてこの歌のオリジンが語られて更に深みが増したように思う。母と息子の戯れで作られた歌はアガサという魔女の純粋な愛の具現化であり、その後は歌詞にある通り『魔女の道を進む』アガサそのものとなる。
『魔女の道』は多面的なアガサ、そして魔女たち≒全ての女たちの歌だった。
その伝承となった歌、多面的な魔女≒女たちの歌からビリーという少年がアガサと出会い、やがてウィッカンとなるという『ウィッカンのオリジン』としても秀逸だと思う。
クィアのロマンス
スピンオフとはいえ、主役がクィアであると描かれたのは何気にMCUだと初めてなのでは?
リオ/デスとアガサのロマンスはヒリヒリしていて凄く好みの物語だった。いかにも“過去があり”“未練がある”二人が思わせぶりなセリフをぶつけ合いながら共に旅をする。こんなのオタクは大好きに決まってるだろ。
特にリオはアガサへのどろっとした未練と執着が感じられた。リオが唯一の特別扱いしたのはどう見てもアガサへの恋情ゆえだし、それを持ち出すのは未練があるからに違いない。
だが、途中まで二人はヨリ戻すのかな…なんてぼんやり考えてた私は頭がお花畑でアガサはリオへの情はあるものの、おそらく恋人同士だった頃のようには戻れないし戻りたいとも思っていないのだろう。決別したいと思っているのは強がりじゃない。
そのことがリオにとっては苦しいのだろうが、正直アガサと戦ってる時のリオを見ると「そんな女止めときな…」の気分になってしまう。
今後リオは再登場するだろうか?リオはそういうちょっとヤバげなところも含めてだいぶ好きなので再登場してくれたら嬉しい。
正直、最初は「アガサかぁ…」と思ってスルーしていたけど、4話が配信されたタイミングで評判の良さや色々な衣装チェンジをXで見かけて見始めた作品。
結果としてディズニー+オリジナルのMCUドラマの中だと1位、2位を争うほどお気に入りのドラマになるほど面白かったし好みのストーリーだった。
今後のMCUも楽しみだ。