アマディス•デ•ガウラ ガルシ•ロドリゲス•デ•モンタルボ
『愛その他の悪霊について』(G•マルケス)の中で書名が出てきた、ドン•キホーテを狂わせた16世紀初頭のスペイン最古の騎士道物。

主人公アマディスを中心とした物語で登場人物は三百人ほど。とはいえ、そんなに覚えてもいられないし、読み終わるまでにざっくり記憶に残ってるのは二十人いくかいかないかぐらいじゃなかろうか。
原書が古いのもあってか、文章としては素っ気ない。登場人物いっぱいいるけどさほど書き分けが出来てるわけでもない。ツッコミどころや矛盾もあちこちにある。翻訳者から註釈で突っ込まれてるのすらあるし。
訳文に関しても原文になるべく忠実にしようとしているからか、騎士が「ござる」だし接頭語に"慎重居士"ってついてる騎士がいるし、当代随一の医師には"親方"って接尾語がついてて「いや、まぁ多分そう訳さざるを得なかったんだろうけどもさぁ」とか色々もにょもにょしつつ(鎧にルビで"鎧"って何の意味もなさないのがついてるのはいかがなものか)、それでもだらだらと読んでしまった。
主人公側の正義であろう登場人物たちより、悪役がちょっと面白かったのがまず一つ。善人に幅は持たせにくいけど悪人は幅持たせやすいんだなぁ、とか思ったり。
もう一つ。こっちが大きいんだけど、ずーっと何がしかのことが起こり続けるので、読まされてしまう。心理描写や情景描写は少ないし、何事もないところはさっさと経過させてしまって、何かあるところばっかりが続くので、続きが気になるのですよ。おかげで食傷気味になったものの16世紀の本がどういうものかも知れたし、面白かったです。
個人的に笑った一文を最後に。
このような類の人間にとって戒めとなるように神は、もっとも抜き差しならぬ肝心の時に自慢の鼻をへし折り給うからである。
鼻をへし折り給うって、こっから先、多分見ることないと思うわ。