ゆめがたり 午睡のオーロラ

 あら、こんにちは。こんな時間にいらっしゃるなんて珍しい……と思ったら、私としたことがドアを開けたままにしていたようですね。

 そうですね……折角来てくれましたし、何かお話をしましょうか。ご希望はありますか?

 特にない、ですか。それなら、うたた寝のときに見た夢をお話ししてもいいでしょうか。きっとこんな日にぴったりですよ。

 私のベッドのすぐ横には窓がありまして、それを開けると風にカーテンがゆらゆらとなびきます。寝転がっているとそれがまるでオーロラのように見えるのです。空が高くて陽差しの柔らかい日には、そうやって穏やかなひとときを過ごしていました。

 当然、そうしていると眠たくなってきます。私は自分の眠気に逆らって、カーテンを見続けようとするのですが、やがて夢に呑まれていきます。閉じたり開いたりする目は潤んで、カーテンのシルエットはいっそう揺らめいて、光の帯らしくきらめいて見えたのでした。

 夢と現はぐるぐると混ざり合って、次第に判別がつかなくなっていきます。カーテンはオーロラになって私の上になびきます。私は暖かい感覚に身を任せて、深い眠りに落ちるのでした。それから、淡い色を見たり、木漏れ日に温められたり、またオーロラを見たりしながら、ふたつの世界を行き来していました。

 気づけば空は紺色に沈んで、金星が地を見つめていました。私はコップ一杯の水で喉を潤して、まだ微睡みから抜けだせない頭で「いったい今日はいつ眠ればいいだろう?」と悩むのでした。

 ……あぁ、すみません。話しているうち、眠くなってしまいまして。夢の収集も兼ねて、仮眠を取りましょうかね。昼寝は眠りが浅いので、夢を見るには丁度よいのですよ。

 あなたもきっと眠たくなったでしょう、一休みしてはいかがですか。うっかり眠りすぎて、他のことに支障が出ないようにお気をつけくださいね。それでは、おやすみなさい。

@kohakutou_neko
ねこすいたい