ちょうど一年前にスキー合宿に行きました。白銀の急峻を滑り切ったときの爽快感は唯一無二のもので、思わず眠る前に筆を執っていました。それがこちらです。
長野の夜は、佳い。リフトから振り向いて見下ろすと、パチパチとした灯りの夜景が見られる。それは東京のものよりずっと魅力的だった。
確かに向こうの夜景は煌々としているが、その内実はといえば、首帯(ネクタイ)を着けたくたびれ人間が、打鍵をするための哀しい明かりなのだ。その点、ここの夜景は、ただ緩やかに過ぎてゆく時間を楽しむ家族たちの、美しき灯りである。
私がリフトから落ちてしまおうと、急峻に耐えられず転がろうと、あの灯りはただ静かに光り続ける。そう思うと、やっぱり悲しくて、でも安心した。その程度の存在でいるのが、何よりも楽なんだ。はぁ、いつかはこういうところに生きて、そして穏やかに……。
降り場に着いた。まだだ、まだ立たない。……今だ。ザァっと音を立ててナイター・コースへ向かう。ひやりとした風が、私を深く落ち着かせた。
……なんというか、えらく気取っていますね。よかった、これを先生方に見せないでおいて……
まぁ、墓場に持っていくほどでもないので、ここで供養しておこうかと思います。
またスキー行きたいな〜。