あのはてなの道具がまた欲しいなと思っていた。十代の時に家にあったものだ。はっきりとは覚えていないが、多分母が買ったのだろう。
その道具は文字通り、はてなマークの形をしていた。下は持ち手になっており、はてなのくるっと巻いた先ににプラスチックのボールのようなものがついていた。これで肩甲骨のツボを押すのである。形から自分は、はてなの道具と呼んでいた。
その道具のプラスチック製の部分は白で、濃い薔薇色でなにか模様が入っていた。全体の作りは細くて軽かった。だから扱いやすかった。今目にしたら野暮ったいはずだが、当時は女性向けの、おしゃれな道具だったのかもしれない。
自分は子供の頃から本が好きで、文を書くことも好きで、時々イラストも描いており、そのせいでいつも姿勢が悪かった。当時はストレートネックという言葉はなく、猫背だと言われていたが、もしかしたらすでにストレートネックだったのかもしれない。中学の頃から頻繁に肩のこりを感じるようになり、はてなの道具をよく使っていた。効くのである。
あのはてなはどこにいってしまったのか、とずっと思っていた。探して買い直せばいいのに、なぜかそうするまで10年くらいの時間が掛かった。本ならその日のうちに探して買うのに。自分にはよくあることだ。
某ネットショップで見つけたそれらしきものは、はてなの形はしていなかった。はてなよりはヘ音記号に近かった。しかしそれしかなかったので注文した。
届いた道具はかなり重く、ばかでかく、扱いが難しかった。もしもの時は凶器になりそうだし、もしもでなくてもうっかり自分で自分の頭を殴ってしまいそうな気がした。自分は不器用なのだ。だからしまい込んでそのまま忘れてしまっていた。
先日それを見つけ出し、棄てていなかったことにびっくりして試しに使ってみた。かなり効く。はてなより効くかもしれない。
自分は今は立派なストレートネックになっており、例の壁際に立つテストをすると、肩甲骨の上は全く壁に付かない。焦ってリハビリをしているが、肩や首のこりには常に悩まされている。今も首がだるいなあと思いながらこれを書いている。事故の後遺症のヘルニアもあるので始末が悪い。
ヘ音記号の力を借りて、冬が来る前に少しでもこれを改善させたいと考えている。
2026/06/27
Kohana