手帳に残された謎の言葉

kohana
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公開:2025/10/17

手帳を変えた話は何度もした。今年まではカレンダーノートを使っていた。シンプルでおしゃれで使いやすかったのだが、諸事情からもっとスペースが欲しくなり、10月からはほぼ日手帳に切り替えたのだ。

しかし、今年の12月まではカレンダーノートにぽつぽつと予定が書き込まれている。だから暇なときにほぼ日に書き写すのだが、そのときにおかしなメモを見つけた。

ハ2市サ人犬イベツ→

上のような謎の言葉が、今月末の某日に書き込まれている。右向きの矢印は、この日から何某かの予定が解禁になるということだ。

しかし覚えがない。何度読み返してもわからない。まあ思い出せないものはたいして重要ではないのだろう。そう考えてしばらく放っておいた。

しかし、ぼんやりとニュースを見ていた時に、どういうわけか突然思い出した。

あれは健康診断についてのメモだ。

詳しく書くと、

この頃にはもう歯の定期検診と草刈りが終わって暇になっているはずなので(ハ2)

市の割引サービスを使って(市サ)

人間ドックを受ける(人犬とあるが間違いである)

その予約をサイトからする(S)

でも胃カメラは別に眠りながら受けたいので、その点を相談する(イベツ)

という意味なのだった。

ハ2市サ人犬イベツ→

略しすぎだ。こんなもん思い出せた方が奇跡である。人間の脳はすばらしい。AIなんかに頼らずにもっと人の記憶力を信頼しよう。本気でそう思った。

そういえば今年の初めの自分は妙に健康意識が高まり、人生初の人間ドックを受けてみるか! と勝手に盛り上がっていたのだった。イベツについては昔、一度だけ胃カメラを飲んだ時にカメラを引き抜いて診察室から逃げ出したことがあったためである。鎮静剤でうとうとしながら飲めばそんな心配もないだろう。

しかし、今は別にそこまでしなくてもなあ、という気持ちになっている。自分は基本的に検査とか診断が嫌いである。悪い結果が出たらどうしようと考えるだけで、そのストレスで何かの病気になる気がする。こうしたものはメモなんかせず、思い立ったらすぐ動かないとだめなのだ。

2025/10/17

Kohana

@kohana
エッセイとAuto fiction。 自分の言葉を取り戻すリハビリのために書いています。 少しでも楽しんでいただければ幸いです。