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気紛らわしの熊対策

kohana
·
公開:2026/7/19

生活圏内に熊が出た。具体的には家から徒歩で10分ほどのところである。熊が全力疾走すれば数分だろう。

先月あたりから熊の出没が相次いでいた。しかしどれも森や山の中だった。きっと同じ熊だな。アプリで地図を見ながら素人の自分は考えた。そういえば去年、親子連れの熊が道を渡っていたとの目撃情報があった。その道は数年前までよく使っていたのでぞっとした。しかし、熊は移動中に現れたへんな灰色のものを横切っただけで悪気はないのだ。どうにかならないかと思う。

その一方で、悪気はなくても出くわすのは嫌である。向こうはパニックに陥ったり子供を守るために人を攻撃するので、仕方のないこととも言える。しかし熊のひと掻きは人間には致命傷になる。いえいえいいんですよ、お互い様ですし、と放っておく訳にはいかないのだ。

自分は熊鈴を持っているが、最近は外していた。どうせ熊なんて滅多に出ないし、その熊鈴には磁石で固定して音を止める機能がない。鳴りっぱなしなのだ。屋外ならともかく、店内でりんりんするのは迷惑である。それで使わなくなったのだが、新しいものを買うべきかもしれない。

自治体のサイトには熊に遭遇したときの対処法が書かれている。走って逃げるのは厳禁だ。熊は逃げるものを追う習性がある。うしろからざくりとやられて終わりである。

だから落ち着いて無関心を装い、ゆっくりと後ずさるのがいいという。山で暮らすお年寄りが以前、熊なんかたばこを吸えば勝手に逃げてゆくよと話していた。あれはたばこの煙が嫌いというより、その態度が熊の撃退というか、やり過ごしにいいという話なのかもしれない。

気になるのは、熊がたまたま自分の背後にあらわれた場合である。こっちはただ歩いているだけなのに、逃げていると勘違いして飛びかかってくるかもしれない。恐ろしい。

それで思い出したのは、昔読んだ、「お面を背中につけていると背後から猛獣に襲われない」という話である。本当だろうか。どうも効果があるのはネコ科の動物であるらしい。でも、熊だって多少の効果あるのでは。勿論これは素人の希望的観測である。

総合すると熊鈴を3つほどじゃらじゃら鳴らし、ついでにラジオを流し、たばこをふかしてえらそうな態度をとり、背中に大きなお面を背負えば少しはましだ、ということになる。しかし自分はたばこは吸えないし、羞恥心とか社会性というものがあるのですべてを実行するのは難しい。

熊は怖い。それでもバス停でバスを待ったり徒歩で買い物に行ったりしなくてはならない。だからこんなくだらないことを考えて気を紛らわしている。

2026/07/19

Kohana

@kohana
エッセイとAuto fiction。 自分の言葉を取り戻すリハビリのために書いています。 少しでも楽しんでいただければ幸いです。