左の色

kohana
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公開:2026/2/16

選挙が終って1週間が経った。しかし政治の世界のごたごたはまだ続きそうだ。

自分は期日前投票を済ませていたので、当日は家でのんびり過ごしていた。前日の夜から降り出した雪はふんわりと庭を覆った。投票を済ませておいて良かったと思った。

夜はネット配信の選挙特番を見た。自分が迷いに迷って入れたふたつの党の片方は圧勝し、もう片方は議席を減らした。

難しいなあと思いながら画面を眺めていて、変なことに気がついた。

画面が真っ赤だ。与党が勝つと赤くなるのだ。

与党を熱心に応援している人の一部はいつもアカを嫌っている。実際に嫌っているのは左派なのだが、それを象徴する色が赤なのでアカと呼ぶのだ。アメリカならレッドである。アメリカも左派を嫌っている共和党が勝ったときは画面がどんどん赤くなっていった。たまたまなのだろうか。トランプさんが怒って色を変えろと言い出さないかと余計なことを考えた。

それからベッドに入り、自分にとって左は白だなと思った。

自分は頭の中にカレンダーを持っている。ドーナツ型のカレンダーだ。

春は自分の前にある。夏は右で秋は後ろ、そして当然冬は左だ。この、方向と結びついた四季には東西南北が重なっている。前は東で春であり、右は南で夏、後ろは西で秋、左は北で冬なのだ。カレンダーには更に色もついていて、春はさくら色、夏は森の濃い緑、秋は紅葉の赤で冬は雪の白である。

だから自分は季節や方向や向きについて考えるとき、必ずほかの要素を同時に思い浮かべる。たとえば春か、前で東でさくら色だなというふうに。このイメージは小学校に入る頃に既に完成していたので、社会科の授業では苦労した。地図では上側、つまり自分から見て“前”が東ではなく北だからだ。

自分と似たイメージを持っている人の話を過去に何度か読んだり聞いたりしたことがある。年中行事や四季を説明する図でもドーナツ型のものをちらほら見かける。日本には四季があるから時間の捉え方も環状になりやすいらしい。キリスト教圏にも四季はあるが、土台となったユダヤ教が厳しい砂漠で生まれたせいか、時間は滅びに向かってまっすぐ突き進んでゆく。

気候変動で日本からも以前の四季が失われている。今は春に緑とすべての花の色が押し込まれ、夏は灼熱の白で秋の金と赤は細く、冬は灰色に塗り込められている。

将来は円環状の暦のイメージもなくなってしまうのかもしれない。まっすぐに引き延ばされた時間の左右は何色だろうか。

2026/02/16

Kohana

@kohana
エッセイとAuto fiction。 自分の言葉を取り戻すリハビリのために書いています。 少しでも楽しんでいただければ幸いです。