自分は数年前まで水をほとんど飲まなかった。そのせいで常に軽い脱水状態だった。そしていつも不定愁訴に悩まされていた。
とにかく水を飲め、珈琲でも紅茶でもなく水を飲め、と周りに言われ、水分を取るようにして体調は回復した。気を良くして浄水カートリッジを購入した。もともとキッチンに浄水機能がついていたのに、興味がなくて最近まで使っていなかったのだ。以来ますます水を飲むようになった。
そして昨日、いつものように水を飲むと喉に痛みを感じた。刺すような痛みだ。
コロナかもしれない。そう思った。自分は今まではっきりとコロナに罹ったことはない。ロングコビットが嫌なので予防接種は全部受けた。今も人混みではマスクをしている。それでも伝染るときには伝染るのだ。
と思ったが熱はない。その後にもう一度水を飲んだが痛みはなかった。乾燥のせいかもしれない、と取り敢えずほっとした。
†††
喉の痛みと言えば、過去に何度かおかしな経験をしている。
1度目はコロナが始まる直前の秋の終わりである。夜、突然酷い悪寒が始まった。ともかく着替えてベッドに潜ると、今度は咳が止まらなくなった。その咳が尋常ではなかった。身体が跳ねて眠れないような激しい咳なのだ。発熱はなかった。咳は翌日の昼過ぎには嘘のように収まった。
2度目はワクチンの接種が始まった後である。そのときも突然だった。喉が硝子のかけらを飲んだように痛い。食事だけでなく、つばを飲んでも痛いのだ。ただ事ではないと思ったが、その症状が出たのは土曜の夕方だった。発熱はないので月曜まで様子を見ることにした。そして月曜の朝に起きてみると、喉の痛みはやはりきれいに消えていた。
3回目は去年のGWである。今回はまた咳だった。それも、胸の奥からこみ上げるような咳である。ひっきりなしに咳が出るため、日常生活に支障が出るほどだった。もちろん外出も無理なので家にこもった。一般的なのど飴は効きそうになかったため、気管拡張効果があるというものを通販で買い、気休めに舐めて過ごした。このときは本当に焦った。GW明けに歯医者の予約を入れていたからだ。治療中に咳が出ては大変である。収まらなければ予約をキャンセルするしかない。
しかし今回も、GWが終わると同時に治ってしまった。やはり発熱はなかった。
†††
この3回の経験は軽症のコロナだったのだろうか。そうだという証明はできないが、違うという証明も不可能なのだ。自分はもしかして軽度のコロナ後遺症で、うっすらとしたブレインフォグになっているのかもしれない。いや、世界中の人がそうなっているのかもしれない。ネットで怒りっぽい人や、何でもすぐに信じてしまう人が増えたのはそのせいなんじゃないだろうか。
熊も出没しているし、なんだか滅亡ものの近未来SFのような、怖い時代になってしまった。
2025/11/05
Kohana