モモの日本語版がリニューアルするらしい。
自分が知る限りでは、岩波書店版のモモはオレンジ色の箱入りハードカバーと岩波少年文庫、そして赤い正方形の箱入り愛蔵版が出ている。我が家にはハードカバーとなぜか愛蔵版がある。自分で買った覚えはないので貰ったのかもしれない。
エンデの『モモ』と『はてしない物語』は、無数にある愛読書の中でも上位に来る2冊である。先に読んだのは『はてしない物語』のほうで、中学1年か2年の時だった。
当時教わっていた先生が、なぜかエンデのファンだった。そしてあるとき、作文だか何かを提出した際、感想の最後に「そんなあなたには是非[はてしない物語]をおすすめします」と添えてあった。[はてしない物語]の部分は独特の飾り文字で、なにかのコピーらしかった。つまり先生はこのロゴの部分だけのりで貼っていたのだ。あれこれこじつけて生徒全員に薦めまくっていたらしい。
自分は既に周囲から引かれるほどの本好きだったが、この行動はちょっと気持ち悪いと思った。気持ち悪いと思いつつ『はてしない物語』を図書室で借りて読み、本の中に同じロゴを見つけてうろたえた。そしてその先生の熱狂ぶりに戸惑いつつ夢中になった。その年のクリスマスプレゼントは『はてしない物語』と同じ作者の『モモ』だった。
その2冊は今も棚に並んでいる。特にモモは今こそ読み返される物語だと思う。灰色の男たちは容易にイメージできるし、商業主義もコスパもタイパも極まっている。
その一方で旧ハードカバー版モモの争奪戦が始まっている。ファンや読書家が1冊確保しておきたいと思うのは業のようなものだが、転売目的に買う人もいるだろう。
自分がこの話を知ったのは某大手SNSだ。コスパタイパやアルゴリズムのリスクを知るのもネットからだ。私たちは灰色の男たちの奴隷だ。そして罪滅ぼしのようにモモを読んだり勧めたりしている。
と、ここで収めたいところだが、もしもこの世界にネットがなく、コスパやタイパやアルゴリズムや商業主義追い詰められていなくても、モモは遠い未来か異世界に起こる出来事を描いた物語として充分に面白く、そして素晴らしい。
なので未読のかたは是非読んでみてください。
2026/10/07
Kohana