10時から11時の間に寝て朝4時に起きる、という生活を長く続けていた。それで特に不自由はなかった。それなのに気がつくと朝起きられなくなっていた。
と書くと睡眠時間が短すぎるといわれそうだ。しかし違う。目は覚めている。なのにベッドから出られないのだ。
目が覚めるのとほぼ同時に考える。午前4時起床というのはちょと早すぎるのではないか。そんなに早起きして一体なにをするというのか。最近ネットで睡眠時間はもっと必要だと読んだし、もう少し寝よう、今日はゴミ出しもないし。
しかし眠れないのでスマホをいじる。自分が寝た後にポストされた投稿を読んだりする。スマホの時間を減らそうと思ったのに、と後悔する。今のははなかったことにして、7分だけ寝てまた起きよう。タイマーをセットして目を閉じるが眠れない。
そんなことを繰り返しているうちに1時間経っている。そこでやっと我に返る。もっと早く起きればよかった。
昔ってどうしていたんだっけ。自分の両親は早寝早起きだった。小さい頃は8時に寝て、4時頃父のラジオの音楽で起きて眠り、5時に母の時計のアラームで起きてまた眠り、6時にたたき起こされた。
もう少し大きくなってからは、アナログの目覚まし時計を愛用していた。最初に買ったのは真っ白いツインベル時計だった。小さな金属のハンマーが上部のベルを打ち鳴らすタイプのものだ。この音で飛び起き、真冬でも窓を開けて部屋の空気を入れ換えるのが日課だった。
変わったのはアパートで一人暮らしを初めて、更にスマホを持つようになってからだ。
隣に他人が住む場所で、あの目覚まし時計を使うのはさすがに憚られた。携帯のアラームは、目は覚まさせてくれても飛び起きさせてはくれなかった。おまけに部屋は高所にあり、気軽に窓を開けるのは難しかった。
やがて携帯はスマホに変わった。スマホはアラームを鳴らすだけでは満足せず、睡眠時間を計測しましょうとか、それじゃ足りないとか寝過ぎだとか、起きるならレム睡眠の時の方がいいのでそのタイミングで起こしましょうとか余計なことを言い出した。
ただ寝て起きるだけなのに面倒だ、と最初は思ったが、スマホの主張が正しい気がしないでもなかった。正しい眠り方や起き方や睡眠サイクルについて考えるうちに、睡眠がものすごく難しいことのような気がし始めた。
実は、実家に戻るときにグリーンのツインベルの目覚まし時計を買い直した。使うのを楽しみにしていたのだが、音の大きさに驚いてすぐにスマホに戻ってしまった。でも、またこれで飛び起きるのもいいかもしれない。ただ寝て起きる生活に戻りたい。明日の朝からはじめてみようか。
2026/09/30
Kohana