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今のここにはいない神

kohana
·
公開:2026/10/5

十代の頃から好きな詩人に、クリスティナ・ロセッティという人がいる。日本では『小鬼の市』で知られている人だ。この作品も繰り返し読んでいるが、自分が彼女に惹かれたのは雑誌でたまたま見た『どこかに』がきっかけだった。

まだ見ぬ、そして今後も会えるかどうか定かではない恋人への想いをうたった美しいの詩なのだが、自分はなぜかそれを宗教詩だと思い込んでいた。当時は恋愛は俗だと考えていたので、恋についての詩だと聞かされてがっかりした覚えがある。

そして、今もその詩は宗教詩なのだと思い込んでいる節がある。ブラッドベリの作品で、イエスを思わせる人にどうしても会えない宇宙飛行士を描いた作品があった。あれと似た印象だ。

そんなことを思い出したのは、AIについてのニュースに触れる機会が多いからだ。

AIの開発は多分止められない。シンギュラリティは人々が考えているより早くやってくるだろう。すでにAIは嘘をついたり相手によって態度を変える、という人間的な振る舞いを見せるようになってきている。

だって人間に似せて作られたんですからね、とPodcastで誰かが話しているのを聞いて、創世記だと思った。

全知全能の神は自分に似せて人をつくった。そして人は神のように自分に似せたAIをつくり、そのAIは人を超えようとしている。

神に作られて神のような存在を産み出そうとしているのに、人自身は全知全能ではないし、神にはなれない。神は常に、今ここではないところ、過去か未来のどこかにしかいない。そしてAIが神のようになって私たちの前に立ち現れたとき、人類は滅ぶのだと警告する人々がいる。私たちは神になることも、神と会うこともできないのだ。

やっぱり知恵の実を食べたのがよくなかったんだろうか。

なんのの役にも立たないが、そんなことをつらつら考えるのは面白い。

2026/10/05

Kohana

@kohana
エッセイとAuto fiction。 自分の言葉を取り戻すリハビリのために書いています。 少しでも楽しんでいただければ幸いです。