気がつくとオタクが支配する世界になっていた。
このオタクというのは日本国内の所謂アニメオタクさんたちとはちょっと違い、海外のテックセレブのことだ。
(もっとも今の日本のアニメの海外での人気はすさまじいので日本のサブカルは確かに世界を支配していると思う)
某SNSをおかしな名前に変えた人は、筋金入りのオタクでSFの人である。だから自分がかっこいいと信じる古いSFに影響された名前をあらゆるものにつけたがるし、火星にも行きたがっている。個人的には前者は勘弁してくれというかんじだが、後者のほうは応援したい。
ほかのお金持ちも変わった考えの人が多い。たとえばある人は世界の終わりがもうすぐ来ると信じている。この終末はもちろん仏教の末法思想ではなく、聖書の黙示録のあれである。その終末の時代を生き抜くための豪勢なシェルターをつくっているのだとも聞いた。現代のノアの箱舟である。
こんな話を聞くとやっぱりアメリカ人は信心深いのだなとなるが、個人的にはなんだかおかしくないかと思う。この人が信じているのは聖書の神様ではなくSF的な終末の世界なのではないか。自分はきちんと読んだことはないのだが、昔の漫画の北斗の拳のような世界だ。
黙示録は日本人も名前くらいは知っている。黙示録を知らなくてもハルマゲドンくらいは知っている。これは黙示録に登場するメギドの丘からくるもので、世界の終わりのとき、悪霊がこの丘に世界中の王を集めるとされている。このごく短い一説から最終戦争=ハルマゲドンというイメージが産まれた。人びとの不安を煽るために利用した団体もあった。
しかし、これは黙示録の中の決定的な戦いではない。世界の終わりが近づくと、物価が高くなったり天変地異が起きたり、自分こそ救い主だと言って人びとをだます反キリストが現れたり、恐ろしい獣が現れて人びとを自分に無理矢理従わせたりする。メギドの丘の戦いはそのひとつにすぎない。そのゴタゴタが極まったとき天によって悪が打ち倒され、悪に従った人びとも滅ぼされる。創世記のあの蛇でもある悪魔は地の底に封印される。悪に従わなかった正しい人たちはキリストとともに千年の統治を行う。
うっかりめでたしめでたしと言いたくなるが、これからが本番である。千年の統治のあと、なぜか悪魔が解き放たれ聖なる陣営を襲う。しかし神の力で悪魔は再び、今度こそ永遠に滅ぼされるのだ。このあと所謂最後の審判が行われ聖なる都が降臨する。
テック系のお金持ちは千年の統治者のひとりに、つまり聖なる陣営の側になりたいのかもしれない。厨二病的でかっこいいのでその可能性は高いのではないか。
シェルターに籠もっていれば疫病に苦しんだり獣を拝まされることもない。しかし、そう信じて突っ走っているうちにあなたがその獣だとか悪の側になっていやしませんかね、と自分なんかは思ってしまうのだがどうか。
2026/06/30
Kohana