クルマで、さぬき市内を移動中のこと。
金剛杖をつきながら、進行方向左側を歩いている旅行者さんの背が見えた。いわゆる「お遍路さん」なのだろう。
接触事故回避のため、速度を緩めて追い越していく。
旅行者さん、手に何やら紙を持っている。一瞬、アルファベットと思しき文字が見えた。
見間違いでなければ、「BA」で始まる書き出し。
四国遍路のあがり三ヶ寺に、「ば」で始まる寺の名前はない(志度・長尾・大窪の各寺院)。徳島県内に、もしかしたらそんな名前の寺があるような……というのが頭をよぎる。
とはいえ、一瞬見えた気がするだけの文字。この旅行者さんがどこを目指しているのかは不明のまま。
そもそも、そこまで気にするならお手伝いしたらいいのに。
しかししかしだ。旅行者さんはお姉さん。私はおじさん。どっちも単独。彼女の行き先が、もし近場の別のところだとしても、国際声かけ事案になってしまう。
すまぬ……お手伝いは見送るね……。
旅行者さんが、無事に行き先に着くことを願いつつ、そのまま走行を続けた。
四国に移住して11年と1ヶ月。こうした事例、後をたたない。
(以下できたら、また続けたい)