RYUJI IMAICHI CONCEPT LIVE 2022 "RILY'S NIGHT" 6.13 松山市民会館

kokonoe
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2022年 6月13日

私はHiGH&LOWがすきで、HiGH&LOWだけがすきだった。

HiGH&LOWに関連する音楽へ能動的な関心を持ったことはなかった。2022年、6月13日。この頃は、HiGH&LOW THE WORST Xの試写までおよそ一ヶ月を控えていた。

それは、12日のことだった。HiGH&LOW THE WORST Xの試写への待ち遠しさを持て余しながらTwitterをのぞいた。すると今市隆二さんのファンの人が「リセールのチケットがたくさん出ているので、愛媛の人は見に行ってほしい」と熱心に宣伝していた。今市さんファンの人たちのつぶやきを、私は本当に偶然目にしたのだ。何を辿っていて今市さん関連のつぶやきにたどりついたのか、まるっきり覚えてない。これは確か6月12日の日曜日のことだったと思う。そのとき私は、ファンの人たちのその様がとても一途で一生懸命だと感銘を受けた。彼女たちは「隆二くんに満員の客席をみせたい」「一つでも多く埋まってほしい」と熱心につぶやかれていた。私は、真水のような愛情をそこに見た。彼女たちが宣伝されていた今市隆二コンサートの日時は、ちょうど仕事が休みの日だった。彼女たちがとても一生懸命だったので、私はせっかくだから行ってみようと思った。今市さんのファンが一生懸命に今市さんを愛して発信していなければ、私は今、こんな文章を書いてないと思う。さっそく彼女のたちの言う「リセール」についてしらべてチケットブックというサービスにその場で登録した。確かに、リセールチケットがずらりと出ていた。そしてチケットを購入する。座席はその場ではわからない。買ったチケットは電子チケットとして届く。メールの封をあけてみれば、松山市民会館の2階の最後尾のど真ん中だった。とても楽しみだなと思った。このとき、今市隆二さんのことは、好きでもなければ嫌いでもなかった。翌日私は、自転車で、松山市民会館まで出かけた。

この日がいろいろなことの始まりとなった。

今市さんグッズはほとんど並ばずにゆったりと購入できた。Tシャツ、タオル、ペンライト、今市さんのキャラ「ライジー」のラバーキーホルダーなどをきらくに購入した。コロナ前の歌舞伎座の売店はぐちゃぐちゃだった。客のマナーも終わっていた。それにくらべて「LDHのグッズはおだやかに買えていいなあ」と思った。のちにそれは大きな間違いだと知る。

RYUJI IMAICHI CONCEPT LIVE 2022 "RILY'S NIGHT"

二階の最後列の真ん中の座席につくと、隣に座っていた女性ファン二人組が「近いよね」「普通の会場だとアリーナ席くらいのきょりだよね」と話していた。そうなのかと思った。確かに、そんなに遠さを感じなかった。セットリストを事前に調べて曲はひとまずすべてyoutubeで予習した。とくに新曲の3曲は、キャッチーで覚えやすかった。私は初見の曲をそのまま覚えるのがとても苦手だからセットリストをみるのもネタバレとはおもわない。ただし新曲以外の音楽はあまり頭にたたき込めなかった。ファンは、老若男女がいりみだれているようだ。男性も多い。世代もまちまちだ。

コンサートを拝見して

「華金」という曲から始まった。

というか、今市さんのファンの人のつぶやきを見る前に、加藤よしきのTwitterでこの曲が紹介されていたことが頭にのこっていた気がする……。だからファンの人の発信する情報に辿り着いたのかもしれないな。

登場した今市さんは、ゆったりとしたスーツに身をつつんでいる。いわゆる、いけいけといったムード、おらおらといったムードも多少はあれど、なんだか儚さや華奢さがある人だなと思った。公称身長は174センチのことだが、ほんとうは171センチくらいではないだろうか。今市さんは、華金という曲で、男性ダンサーを従えて踊る。そのさまが、実に柔らかく、洒脱で力が抜けていて、しっかりと腰がおちていて、ひざや関節の使い方が巧みだ。今市さんは、男性的な色気にヘルシーさとすこしの「遠慮」がはさまれたパフォーマンスを魅せる。そのやわらかさと洒落たムードにあっけにとられた。私はまず今市さんの踊りが好きだなと思った。そして声の甘みに艶気を感じた。このときは、RiLYという歌とCatch my Lightという歌が印象に深く残った。音楽のジャンルや構成などの批評は私にはできないが、どれもご本人がやりたくてつくりたくてつくって歌ってるんだろうなということだけはわかった。高い声、洒脱でクールなムード、おしゃれという概念までにいきすぎないけどけしてださくなくて、いや、やっぱりおしゃれで、だけどなんだか、どこかおだやかで優しい。何より怖くなくて親しみやすい。優しい。そしてファンキーで、なんだか何をされても最終的に優しさにかえっていく。なんて優しい空間だろうと思った。MCでのお話口調も、全編にわたっておだやかにゆっくりと焦ることなく、ぽつりぽつりと語っていた。それがけして不器用ではなかった。誠実だった。言葉使いが丁重で、ファンの人への敬いに満ちていた。乱暴さや雑さ、いい加減さ、いわゆる「おらおら」なんてものは、この時点で一切消えていた。今市さんはただ誠実だった。

今市さんは、お話をされるときの言葉が砕けることは一切なく全編通してずっと敬語だった(プレゼントがあたったお客さんに、ユーモアをこめて砕けた言葉で語りかけることは一度だけあった)。終始敬語で、語気を荒げることもない。ラフさも雑さもいいかげんさもなく、しかし固くもなく、丁重な言葉使いで、お客さんのことをとても丁寧に扱っておられた。このコンサートは大人同士の場だと思った。全編とおして客に敬意を払う敬語で話し、音楽自体も、敬いがあり、踊りも、誰かへの敬いがあるからやわらかくて心地よいんだと思った。そんな礼儀に加えて、とにかく、踊りに魅せられた。深くおちた腰に、柔らかいひざとひじ。この後、堀夏喜くんも今市さんの踊りと同じ特徴をもっていることに気づく。そして、シャイでけして器用ではない人柄、だけど不器用という言葉に逃げない成熟。さらに独特のやさしさや特徴的な浮遊感、そして何より、やっぱり、丁寧な言葉づかいに魅せられた。ファンの人たちは、みんな元気で、幸せそうな人たちばかりだった。怖そうな人はいなかった。

その後一ヶ月後に広島に来ることを知った。「RILY'S NIGHT」とよばれるこのツアーもまだだ続くことを知った。また今市さんを見てみたいと思った。

その後いろいろな映像や雑誌、本を買ってみた。その結果私は今市さんのグループ活動より今市隆二さん個人のほうに関心が深いことを自覚した。今市さんをつくりあげたグループに今も深い敬意を払い続けているが私はグループを応援するほうにいかなかった。

今市さんの本のなかでは写真集がお気に入りで、何度も読んだ。LDHの人の写真集は、最後、高級ホテルで入浴していることが多い。中島颯太くんもいいホテルでお風呂に入って終わっていた。お風呂に入るのがゴールということなのだ。

2023年12月現在、今市さんはグループ活動で大活躍している。一度、グループのツアーもPPVで拝見した。今市さんは声がときおり出なくなっていて、時々心配になる。しかしファンの人はその事実についてふれない。なんでだろうと思って配信をみると、ファンの人の気持ちがわかる。今市さん自身がグループ活動の中でどれほど深い役割を果たしているかも、十二分にわかる。

私は今も今市さんのことは、遠くから静かに応援している。ライジーのぬいぐるみも、とてもかわいいです。

@kokonoe
口から出まかせを言っているブログ