二月十六日の下書き

わも
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公開:2025/4/8

映画『ファーストキス』を見た。私は何年経ってもあなたに恋をするという王道のベタに弱いので人が人を想っている描写に泣いたが、総合的に見ると感動したとは言い切れない。セリフ回しと演技の上手さに関しては非の打ち所がないとは思うが、展開や心情に関してそう?となることが多かったので没入して感嘆するという感じではない。

ここからは自身の性格の悪さから起因する話だが、冷え切った夫婦を題材にしているにしては、一般的に冷え切った夫婦というものは一緒に映画館には行かないだろうし、本当に刺さる・届けたい層には届かないだろうというジレンマに加えて、結婚していないが恋愛を経験している・仲のいい夫婦などのマジョリティからは、日々を大事にしようと思ったなどのその言葉だけで済ませて良いのかという感想が多く出る映画だと思う。そして関係の拗れ切った、戸籍というただ一点で繋がれた夫婦ではなく、相手の死の運命を避けようとする最大の矛盾がある。私はその先が見たいのに?という気分になった。しかし「もう完全に相手への想いはないが、付き合いだけがいたずらに長くなった限りなく身内に近い他人」が、二人の出会った時に戻れたら、という前提だったら多分ここまで物語にはならないので、やっぱまだ相手のことが好きですね、となっていたが、じゃあそれは冷え切った夫婦ではないのでは。となった。