服を買った。着たいなと思う服に出会えることって稀だ。すごく素敵って思っても似合わないかもって思ってやめちゃうことばっかり。今日買った服は、かわいくてかっこよくて、それで、私に合うかもって思えた。そんなことこれまでなかったかもしれない。
試着して似合わなかったらとか太って見えるとかしたらどうしようって思ったのに、鏡の中の私はなんだかすごく良かった。この服ほんとに素敵だ!って思えば自然と背筋が伸びた。
本当は今日、行くか迷っていた。行かなくても全然、明日も普通に生きていけると思った。布団の中で何度も写真を見た。こんな機会二度とないかもしれない。服に対して、良い思い出の数十倍は悪い思い出があった。行って、試着して、予約するだけ。似合わなくてもすごく好きですって伝えられたらそれだけでいい。
緊張して全然喋れなかった。伝えたいことの半分も言葉にならなかった。そもそも自分の中でも全然言葉にできていなかった。「好き」より「救われた」に近かったんだたぶん。そんなことがあると思いもしなかったから、今になって気付いた。
届くのは秋。少し先の未来の約束は今を生きる元気になる。合わせたいコーデとか予定とか、自分が考える日がくるなんて思わなかった。楽しみだ。そう思うことがすごく新鮮だった。