白髪短髪のおじいさんの頭に食い込むように耳にかけられたつまようじ。
つまようじって、耳にかけて歩き回るくらい出番があるんだろうか。使い捨てのマイつまようじ。明らかな矛盾。
というより、つまようじって1回つかったら捨てるものじゃないのだろうか。おじいさんは使いふるしたつまようじを耳にかけているのか、それとも新品未使用のつまようじをかけているのか。
わたしが知ってるつまようじは短命で、ご飯を食べ終わったあとにテーブルの隅に隠れるつまようじ入れから1本だけ取り出し、歯と歯の間に詰まった食べ物のカスをグリグリしながら取り出してティッシュに包んで捨てる、大体30秒くらい使えば用済みなものだと思っているのだけど。
短命なつまようじ。
それなのに、あんなにも大事そうに耳にかけて持ち歩かれるつまようじ。まるで侍が刀をかついでいるかのようだった。おじさんにとってつまようじは刀も同然なのかもしれない。なんと勇ましいつまようじ。
ここまででつまようじと12回も連呼している。つまようじ、何だかリズミカルでついつい何度も言いたくなる愛称だ。
そんな勇ましいつまようじに出会ってしまった、という話。