この地球上で、誰か1人いなくなっても生活は回り続ける。なんて、嘘だなと思う。
ずっとそばにいた人は、より誰かの温もりを求めるようになって。暮らしの一部だった人は、ぽっかり空いてしまった虚無を、なんともないような顔で抱えている。
ワンちゃんがね、歳のせいもあるかもしれないけど、ずっと後ろ姿を見せてくる気がする。あまり吠えなくなって、布団の上で包まっている。
きっと何か感じていると思う。静かに、寂しい、何かを。
だから人は新しい家族を作るのだろうか、とも思ったりして。
変わらない景色を見ながら、それでもやっぱり色味は薄い雪のベールで覆われているみたいな、以前とは違う景色だと感じた。
冷たい空気が、さびしいよ。