吾峠ェ!!!!

kotu
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※これは、パッションな『鬼滅の刃』の感想となっています。勢いに任せた表現になっておりますがご了承ください。

一年前の冬、ブームが終わって少し経った後、鬼滅の刃を見た。

終始美しい、雪の冷たさや息遣いが伝わってくる素晴らしいアニメであった……。

さらにそこから少し経って、私は漫画を履修した。

なんだ、これは。

『鬼滅の刃』5巻引用

いや、禰豆子じゃねーよ。『ガロ』過ぎる。

青林堂が刊行していた、明らかに商業意識みたいなものが欠けていて、情熱と執心で作られただろうことが何となく感ぜられてしまう、ド変態マイナーアングラ漫画雑誌の『ガロ』ではないか。

こんな絵面が週刊少年ジャンプで許されていいのか。

ふと、吾峠先生がどのぐらいの出版社に持ち込みしたのか気になってしまったが、先生のポテンシャルに目を付けた編集部はやっぱり漫画扱ってるだけあって漫画に詳しいんだなと思った。(何を当たり前なことを)

大体この月の描き方、今の時代じゃなさ過ぎる。明らかに手塚治虫とかその辺の時代の漫画を画風の参考にしてると見た。

さらに、可愛い女子(おなご)もたくさん出てくる。

『鬼滅の刃』5巻引用

この台詞、雰囲気、あと30ページ命が持ってくれれば……と願ったが、

彼女はこの発言の後、5ページ程度でその命を終えてしまった。

フリーレンのアウラと言い、行く末の恵まれなさそうな女人のなんと可愛いことよ……。これは個人的な癖なのかもしれない。

そして、これ。

『鬼滅の刃』2巻引用

いやいやいやいやこれ……。

これ作者が一番描きたかった奴、間違いないっすわ。

復讐に燃えるうつくしい鬼の女と、仕えるような書生風の青年。

これ、描きたかったんでしょ?わかるよ……耽美でさあ……とか思いつつ

吾峠先生の過去作で検索したら出てきてた。いるじゃん。

その後、文字通り珠代さんは本編で「鬼のように」活躍していた。

夫と子供を失った女の怒りはこんなにも哀しく、恐ろしいほど美しい。

愈史郎君があんなふうになるのも頷けます。

そして……

『鬼滅の刃』3巻引用

また癖だなあ……。

しのぶさんの登場シーンは、いつもふんわり感と彼女の体重の軽さを意識して描かれているので、そこまで注目してなかった人は改めて見てもいいかもしれません。角度へのこだわりがすごい。

義勇さんとしのぶさんのコンビ、とても好きです。

ずっと一緒にいてもたぶんくっつくことはないんでしょうが、あの感じがまたイイんですよね……。ヲタクやめらんないわ。

延々と毬の子など女性キャラの話をしまくりそうなのでそろそろ切り上げるのですが、こと鬼滅の刃において一番力が入っているのが心理描写だったと思います。炭治郎という心優しい、昔話に出てくるような少年に自己を投影するような人間ってあまりいないと思うのですが、頑張っても頑張ってもあと少しというところで届かない……!という必死さにまつわる描写は、日々必死さを求められるスポーツや仕事に従事している方にとても響いたのではないでしょうか。インターネットを見ている限りでも、特に医療従事者にウケが良かったような記憶があります。無惨と医者からはじまる物語は、「病気」もキーワードとして大きく絡みますから。とにかく、みている人間は炭治郎を自然と応援するようになっています。

心理描写の中でも気に入っているキャラクターがしのぶさんで、鬼滅の刃に出てくる柱はほとんどそうなのですが、鬼で大事な人を失ってから、性格や人生観が大きく変化しています。これらは地続きで今を生きている私たちにも繋がっていて、私たちは経験によって、日々性質を変えながら生きているのです。それが良いものであれ、悪いものであれ。

しのぶさんの姉はしのぶさんに対し、『普通の幸せ』を望みましたが、彼女は戦う場から退場して人生をエンジョイするようなタイプでないことは火を見るよりも明らかなので、復讐に自身をまるごと使って憎しみだけで生きていました。そこから来る影が、炭治郎に姉の想いを託す流れになったのでしょうね。

彼女は自分が冷静になり切れないことを冷静に把握していた。元が苛烈な性格だったので、なおのこと曲げられなかったんでしょうね。やっぱりしのぶさんってキャラクター、好きです。とても。

個人的にかなり面白いキャラクターが煉獄さんで、アニメの番外編でよりハッキリ描写されたのが彼の性格なのですが、頭の回転が異常に速い。弁当を買い込んで、それを列車の格納庫の従業員に届ける口実にしたり。

煉獄さんみたいな人は周りの人間からすると結論を出すのが早過ぎて、「も、もうちょっと考えてから結論出して欲しいな」って感じになると思うのですが、柱の人間なら即決は大事だと思うんですよね。『できるかもしれない』みたいな不確実な想定をするんだったら、最初から『できないもの』として捉えておく。次々変わっていく状況に対応するにはこういう考え方も手段の一つだと思うんですよね。直属は嫌ですけど、上司に居るとめちゃめちゃ頼りになりそう。鬼絡みだと判断が早いとはいえ熟考し、模索するしのぶさんとはタイプが逆なのですが、この二人も互い尊敬してそうで良いバランスですよね。

鬼滅、おもしろい。見るたび発見がありそうな作品です。