※主観です
※ネタバレを含みますのでアニメ派の方はご注意ください
感情の発露とか爆発とか、キャラクターの内面が描かれる瞬間を読ませていただくことが好きで漫画読みをやっているようなところがあります。
小説だと仔細に書けるところが醍醐味でそれも大好きなのですが、漫画は表情や行動でそれを表して、読者側にぶつけてもらえるとサイコ~にキマる(脳汁が出る)のでここ数年は『ブルーロック』がよくキマるのですけど、その中でも当時中学生だった凜ちゃんが冴さんに否定されて失意から憎悪に変わった瞬間がもう大好きで……表彰状とトロフィーなぎ倒すシーンです。ここアニメでやってもらえるの楽しみでしかたないです。
凜ちゃんみたいな子って多分気持ちをひとつしか持てない子で、潔さんとはまた違ったベクトルで一途なタイプだと認識しているのですけど、とにかく凜ちゃんにとってマイナス要素だったのは冴さんの不器用さ(何もかも伝わっていない)。糸師家兄弟は素直に言葉を伝えられる子たちだったはずなのに……大人になるってこういうこと? 読者側には冴さんが凜ちゃんを傷つけることは本意ではなかったことも(しかし伝え方が最悪すぎ)、凜ちゃんの信じていた心が折れるのも分かりつらいのですけど、その後のなぎ倒すシーンで浴びる凜ちゃんの憎悪でつらさが倍増、しかし気持ちいい。この感情の矛盾とついてこられる奴だけついてこい感。たまらん。わたしはどきどきしました。
U-20戦終盤で気持ち悪いって言って信頼を否定したのも同じで、凜ちゃんほんとにひとつだけしか持てない(もしくは必要としてない)んだなって思います。全部トリガーが冴さんというのがまた皮肉ですけど、そこへ突如として死角から入り込んできた潔世一……ただのモブが個として認識され、そしてU-20戦で殺害対象になり、世界選抜編で殺しに行く流れ最高すぎる(※物騒ですが彼らはサッカーをしています)。
なにが言いたいのかといいますと、感情をひとつしか持てないのに更新させられていく糸師凜がとても可哀想で、でも好きだなあと思う、という話です。ある意味ではこの世界で一番振り回されているのは彼なのかな、とも思います。最新の31巻でまた更新させられていて、糸師凜一番好きなキャラかもしれない……と思いました(今まではちぎりんでした)。彼の中で破壊衝動/行為と自滅が両立するから、サッカーと殺し合いも両立する。冴さんの形をしていた悪夢が潔世一の形となったのも、あの時唯一追いかけてきたのが潔さんだったのも、もはや運命なのでは。凜ちゃんと潔さんはソウルメイトだと思っているので、一生切磋琢磨しながら一生バチバチしててほしいですが、もう一回くらい同じチームで戦ってるのが見たいです。数年後、インタビューで意識している選手聞かれてお互いを答えてるのに、緊急連絡先がお互いになってそうで萌えます。妄言です。
『ブルーロック』は感情の描き方が振り切って上手いと感じていて、それがキャラクターにとって必要な感情で節目だと分かるからとても気持ちいいです。世界選抜編に入ってからはノ村先生の画力がやばすぎてもはや殺し合いの漫画っぽい画面になってますし、演出が派手すぎて引いてしまう読者もいるかもしれませんが、わたしは圧倒されて呑まれている側なのでドロ船とか最高でした。ゆっき~からしたら悪夢ですが。宗教と悪夢って両立するんだ……。
いやまあ、潔さんが他人の感情乱すだけ乱して全部放置していくから大変なことになっていますけど。人間関係ドロドロな漫画好きな方には全力でおすすめできます。潔さん、自分の戦法とノアしか見てなかったのに100コロILOVEYOUしてたと思いきや凪置き去りにして、最新刊で凜ちゃんに還って行った。もうなに? すごい。
不自由の中で足掻いて殻を破っていく瞬間が好きなのかも。30巻のカイザーも良かったですし。
お口の悪さについていけそうな人は是非、『ブルーロック』をよろしくお願いします。