2024/6/20

koyoko
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公開:2024/6/20

うおーっ はじめて面と向かって人にカムアウトした。

といっても相手は担当の心理士さんである。snsではふつうにプロフィールに書いているし、対人セックス意味わからんとかめっちゃ書いている。しかしわたしは「人と話す」ということにたぶんかなりの労力を必要とするタイプのため、「誰に伝えるか」という点よりも、面と向かって人に声を通して伝えるという点に重みがあった。

別に言わなくてもよかったかもしれないが、メンタルヘルスのために自分自身を棚卸しにカウンセリングに行っているのだから、はやめに伝えておいたほうが手っ取り早いと思った。あと話の流れ。勇気を出したわりに声になるとあっさりしたもので、そのままあっさり会話は進み、何事もなく、大丈夫だった。相手が相手であるし、そんなものかもなのしれないが、カウンセリングの場であっても思慮のない言葉をかけられるクィアの話はよく聞くし、「運がよかった」のは事実だが、運任せになってしまう状況っておかしい。

韓国映画の話をしていて好きな監督をパク・チャヌクと答えてしまい(だって急にキム・ソンスは映画の神です!とか言えないから…(?))その流れでお嬢さんのレズビアニズムの話とかして、カムアウトしたのだった。あとフェミニズムの話もできた。竹村和子復刊したので…と宣伝してきたにもかかわらず、帰りに街中の大型書店寄ったのに在庫がなくて買えなかった。かなしい。

「アイデンティティの確立/拡散」という言葉を聞いたのは高校だったか大学の教職課程だったか忘れたけど、「アイデンティティが確立することなんてある!?」と思ったことを最近よく思い出す。今でも「アイデンティティ、確立なんてする!?」と思っているが、ふつうは確立しているものなんだろうか…というか確立した状態ってどういう状態なの…何もわからない…何も…

そういえば行きの電車では思ったより本が読めてうれしかった。ひとつの章が短いので好きな部分をくり返し読んでいた。

 ぼたん雪が黒いコートの袖に止まると、特別に大きな雪の結晶は肉眼でも見ることができる。正六角形の神秘的な形が少しずつ溶けて消えるまでにかかる時間はわずか一、二秒。それを黙々と見つめる時間について、彼女は考える。

 雪が降りはじめると、人々はやっていたことを止めてしばらく雪に見入る。そこがバスの中なら、しばらく顔を上げて窓の外を見つめる。音もなく、いかなる喜びも哀しみもなく、霏霏として雪が舞い沈むとき、やがて数千万の雪片が通りを黙々と埋めてゆくとき、もう見守ることをやめ、そこから顔をそらす人々がいる。

ハン・ガン『すべての、白いものたちの』、斎藤真理子訳、河出文庫

こんなこと話して何になるんだと思いつつ一言一言吐きそうになりながら泣きながらカウンセリングでは話しているのだが、帰宅して疲労に沈んでいると、誰かに話を聞いてほしかったのかも?と思う。そしてわやわや~っと文字にしてたらなんかすっきりした気がする。よい方向に向かってくれ~

おわり