2024/12/1、『ファースト・カウ』

koyoko
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ようやく先週出席した結婚式の過剰適応による疲労が落ち着いてきたと思ったら、今度は気がゆるんだのか気圧なのかなんなのか頭痛が3日くらい続いて結局ろくに動けない1週間だった。ある意味いつも通りに戻ってきたということなのかもしれない。

ぎりぎり11月中に『ファースト・カウ』を観た。ケリー・ライカートは『オールド・ジョイ』だけは観たと思っていたのだが、途中で止まっていることに今さら気づいた。頭痛で動けないタイミングだったこともあり、ほっとしみじみできてとてもいい映画だった。いい映画だ…の他に語りたくない、自分の中で大事にしまっておきたいような映画だ。特に好きなのが、2人の仲が深まることに特に説明がなされないことだ。流れで出会い、流れで付き合い商売を始め、始終油の中で転がるドーナツのようだ。盗みがばれたあとも2人は再会し、隣で横たわる。自分自身、他者に気をゆるすとき、理想を語るときというのはは、弱さや困難さを共有できたときだから、胸がぎゅっとなるシークエンスがたくさんあった。あとリリー・グラッドストーンのあのカットがよかった。しみじみよかった、また観たい。12月はU-NEXTを久しぶりに再会する(配信サブスクを再開すること自体ほとんど1年ぶりかもしれない!?)ので、まずはスティーブン・ユニバースを完走することと、できれば逃していた映画も観られればいいなあ。ユリョンもまだあの激アツなところで止まっている。本を読みながら映画を見ながら俳句を詠みながらちょっと語学をやりながら犬を眺めながら寝たい。

そういえば、あんなに目にも鼻炎持ちのひとにも刺激的な黄色(と花粉)を放っていたセイタカアワダチソウが枯れ、ススキに混ざって道路わきや川辺がベージュのグラデーションになっていた。キャメルと言われている色より彩度が低くて、アイシャドウパレットの中でベースカラーに当てられてたり、アイブロウパウダーのライトカラーみたいな感じ(結婚式出席に向けて久しぶりに馴染のコスメチャンネルを見まくった影響の語彙)。あと近所(3キロ圏内)に山茶花のある家が多いことに気づいた。歳時記を見るようになり、ようやく山茶花の名前と姿と季節が一致したからだろう。遠くからでも、冴え冴えと濃淡さまざまなピンクが視界に入ってくる。あと今目につく色鮮やかさといえば柿だ。すっかり葉は落ちてしまっても、赤々と熟した実があの無骨で黒い枝にいくつもなっている。葉の落ちた柿の木ってなんか不気味ですきだ。この話がしたくてしずネットを書き始めたのだった。クリス・プリーストリー『モンタギューおじさんのこわい話』がだいすきなのだが、たしか剪定鋏の話にあった挿絵を思い出す(シリーズ3巻ある、小中向けホラーの短編集)。あとエドワード・ゴーリーの絵っぽくもある。ゴーリーは全部読んだことはないが『鉄分強壮剤』がすきだ。

おわり