『灯台へ』読了
無事読み終えた!読後の「あ~読み終わっちゃった!」感と、物語最後の爽快感が合わさってとてもすがすがしくなった。返却間際だったのと、その日はリサイクル本持って行っていいよ~の会の時間が迫っていたこともあり、最終章は慌てて読んでしまったのが惜しいが、あの1ページにみっちり詰まった登場人物各々の頭の中、思考、欲求、自省などなどを、「ラムジー夫人」や「灯台」といった象徴を介しつつ、寂しくもありながら豊かな自然描写とともに追うのは楽しかった。やっぱり2章がすきだし、2章を経て最後の一文、絵を描くひとリリー・ブロスコウによって物語が締めくくられていたのがよかった。あとカーマイケルさん!これから読むひともいると思うので、引用したい箇所はたくさんあるが控えておく。わたしはフィクションにおける男性ジェンダー血縁のねちねちした妬み恨み嫉みが大好きなので、ジェイムズとキャムの「盟約」にわるい笑みが浮かんだ(前にも言ったがロバート・エガースの『ライトハウス』が大好きである)。ジェイムズから「父」へ向けられる内面からの、実際に到着した灯台の立つ島、そして老いたラムジーの姿のあっけない感じも好きだ。本当に駆け足で読んだためいまいち余韻に浸りきれていないから、解説をはやく読みたい!ちなみに次に読む本は、武川佑『円かなる大地』です。
ナイフをとりだして父の心臓をひと突きするというこの象徴的イメージを、彼は幼いころから胸に抱いてきた。ただ、こうして大きくなり、無力な怒りに震えて父を睨んでいるいま、殺したい相手は父親――本を読んでいるあの老人――ではもはやなく、おそらく父本人の知らぬまに降りてくるなにものなのかなのだとわかってきた。あの突如としてあらわれる獰猛な黒い翼の鷲(ハービィ)なのだ。鉤爪も嘴も冷たく硬く、それが幾度となく攻撃してくる(子どものころ、むきだしの脚を鷲に嘴でつつかれた感触をジェイムズは憶えていた)かと思うと、さっと飛び去っていき、すると、そこにはまた父がいるのだ。いたく悲しげに本を読んでいる年老いた男が。あの生き物を殺したいんだ、あれの心臓をひと突きにしてやりたいんだ。
第3章 p.236
めずらしく予定の立て込んでいた週末だった。というか、出かけるときに予定を一気に詰めこむタイプなのでそうなってしまう。でも気がかりだったことが大方片付いたのですっきりした週末となった。そのぶん疲労でぐったりしてはいるのだが。ちなみに歯医者の予約はまだです。
9日は髪を切った。本当は襟足が伸びてはやく切りたかったのだが、お友達の結婚式に合わせてこの日とした。以前通っていた美容院の担当さんも好きだったが、ばっさり切ることに乗り気でなく、わたしがいまいち主張できないことも相まって毎回控え目フェミニン寄りボブという感じなのが難だった(あとおしゃべりに付きまとうもやもや)。今行っているところは、わたしが多少希望を話せるようになったこともあるのかもしれないが、今回は「襟足を短くしたい、可能ならば刈り上げてもいい」と伝えたらわたしのメンテナンス周期や毛量などを考慮しつつ、希望を第一に話を進めてくれたので助かった(前回もすんなりショートにしようと話が進んだ)。前髪は流したくてあまり切らなかったが、もういっそさっぱり切ればよかったかと思ったくらいだ。しかし襟足がすっきりするとこの時期は寒い!それはそう!
そのあと用事を済ませて、お友達とちょっとお茶をした。ヴィクトリアスポンジがあったので、うきうきして注文した。予定がうまく済ませられたからか、ブルースカイやしずネットも知られているという安心感なのか、疲れていたからなのかわからないが、またベラベラとどうでもいいことを聞かせてしまった気がする。そんなわたしにお友達が、aceフラッグの色みたいだからとかわいい指輪をプレゼントしてくれた!!!うれしい!!!!うれしいからいろいろ書きたくなるが、個人的に伝えるのでここには書かない。はっきりとカムアウトしたわけではないのだが、知っていてくれること、知ろうとしてくれていることが何よりうれしかった。
10日は布団を干し、最初に書いたように慌てて『灯台へ』を読み、用事を無事済ませ、リサイクル本(合計9冊)を抱えて帰宅した。夜はシチューにご飯をかけて食べるやつをやった(バゲットなどもいいがご飯とシチューもすきだ)。
たのしいことを中心に書いているとやっぱりユウウツがこちらを羨ましそうに覗いてくる。でも掃除をして部屋がすっきりした効果なのか、若干自分の中にも余裕みたいなスペースが生まれたような気がする。結局頭のなかは毎日毎分毎秒思考やら何やらでごちゃごちゃと混沌としているのだが、ちょっと落ち着いて、ごちゃごちゃを整理するために一旦避けておける?ような空間ができた感じだ。調子に乗るとやらかすので(学んではいないがようやく30年の経験で知ってきた)、自分のペースでがんばらずにがんばりたい。急に話が変わるが、今わたしのベッドにはダニよけシートとさよならダニー(掃除中に母が買っていたらしい未使用のものを発見した)を一緒に置いてしまったのだが、どうなるのだろう…
おわり
ヴァージニア・ウルフ、ジーン・リース、鴻巣友季子訳、小沢瑞穂訳『灯台へ/サルガッソーの広い海』、世界文学全集Ⅱ-01、河出書房新社