私は強い言葉がちょっと苦手だ。
他人に対してあたりが強いという意味じゃなくて、ひどく誇張されているように感じる言葉、とでもいえばいいのか。
たとえば、料理のレシピなんかでよく見かけるんだけど、「永遠に食べられる」「気が狂うほど美味い」みたいなやつ。いやまあおいしいんだろうけど、おおげさすぎませんか……って。Xで見かけたことがあるレシピは全体的に言葉強めだったけど、その中で好きだったのは、白ごはん.comさんのレシピ。丁寧でやわらかくて、料理のおいしさが伝わってくる文章だと思う。
悲しい事件に対するコメントにある「涙が止まらない」みたいなのも同じで、いやスマホだかPCだかでしっかり文章打てているひとが何をおっしゃる、と思ってしまう。それくらい悲しいということを伝えたいのはわかるんだけど、事実に反するよなあ、といらんことを気にしてしまう。
なにかのコンテンツに対する「神作品」みたいなのも同上。
謎のこだわりだってことは頭ではわかっているんだけど、言葉の強さがインフレしていく感じがして落ち着かない。
ここまで書いて、ポルノグラフィティのパレットという歌をふっと思い出した。
感情を言葉に当てはめることには限界があるから、いろいろこねくり回したところで「窮屈な服を着せてるみたい」になってしまうのかもしれない(タイトルすら検索するまですっかり忘れていたのに、ここのフレーズだけしっかり覚えていた。私の中でかなり印象に残っていたらしい)。
好きなものを他人から勧められるとき、ぐだぐだ理屈を連ねられるよりも、強い言葉で勢いを持って言われた方が興味が持てる、というような意見をずいぶん前に見たことがあって(うろおぼえ)、それもそうなのかなと感じた記憶もある。
どうせぴったり合う言葉なんてないのだから、とりあえず大きい服を着せておく、というのもひとつの考えなのかもしれない。それでも、私の理想はやっぱり、少しでも感情に合う形の言葉を見つけていくことだなあ、と思っている。