おふねをこいでを歌ってたら息子が泣いた、と夫が言うので嫌がったのかと聞いたらそうではないと言う。
息子を見てみると確かにうれしさとも不安ともとれない顔で目にいっぱいの涙を溜めて、父母を見つめていた。
おふねをこいでは息子が赤ちゃんだった頃にコミュニケーションをとるために歌っていた手遊び歌。
意思疎通が出来るようになってからはしばらく歌っていなかった。
夫にもういっかい、もういっかいとせがんで歌ってもらっていたら、声も出さずに涙をこぼしたらしい。
わたしたちはそういう複雑な気持ちもあるよね、いいんだよ、たくさん泣いて、と息子の頭を撫でながら二人してもらい泣きをしてしまった。
あなたの記憶の箱から飛び出してきた思い出が、どうかどうかしあわせなものでありますように。母は祈っているよ。