脚本と、映像の質感、音楽の雰囲気が好きだったドラマ。予め登録した依頼者が亡くなった際に、デジタル遺品のデータを消去する会社 dele.LIFE。そこで働く二人の男性と依頼者の物語。視聴していた頃の心境もあって、よく聴いたサウンドトラックだったと思う。
音楽担当は、岩崎太整・DJ MITSU THE BEATS。
ドラマ開始前の予告で流れていたのは、11 曲目の 403 Forbidden。劇中、よく流れていた 4曲目の Transaction、5曲目の With a Little Luck は、ドラマのワンシーンが浮かぶくらい聴いた。
特に気に入っているのは、6曲目の Carry That Weight。今でも時折、運転する車の中で、聴くことがある。今もまさに、これを聴きながら書いている。
Carry That Weight(その重荷を背負って)。この世を去っていった人のことを思いながら、この世に残された人達はそれぞれ重荷を背負って生きていく。このドラマの一貫したテーマだったように思う。
特によく憶えているのは、第6話。自殺した女子中学生のデジタル遺品であるノートパソコンのデータを使った、自殺の原因の調査依頼があった話。
この女子中学生が自殺したことで、次の標的となってしまった女の子の自殺を引き留めたシーンで、女の子が言っていた「ブスでごめんなさい」という言葉が、今でも結構重く自分に残っている。
自殺の原因に関わる真実が見えてきた場面で、圭司(山田孝之)に対して、祐太郎(菅田将暉)は、こう言っていた。
「汚いんじゃないよ、弱いだけなんだ。弱いから、時々悪意に囚われたり間違ったりしてしまう。ただ、それだけのことじゃないか」
また、第7話では、この二人は、こういうやり取りをしていた。
圭司「社会は人に一つの人格を望む。人格が一貫していればしているほど誠実な人間だと捉えられる。だから、皆、表向きの自分を演じて、そこからはみ出る部分を隠したがる。隠してきたものを消してやれば、一貫した人生になる。反対に暴き始めれば、いろんなものが壊れていく。だから俺はいつも中を見ずに削除してきた。責任が取れないからだ。」
祐太郎「俺だって責任取れない。暴くのは怖いよ。でもさ、消すことだって、同じくらい恐ろしいことなんじゃないの。」
書いていたら、何を言いたいのかよく分からなくなった。こういうことをゆっくり考えるには、このドラマのサウンドトラックは、とても合っている。
重荷は変わらないけれど、別の雰囲気で捉え直すには、ビートルズの Carry That Weight もいいかもしれない。あれも「その重荷を背負っていくんだ、この先もずっと」と、言っていることは変わらないけれど。