本屋で江國香織『川のある街』と川上未映子『夏物語』を買った。前者は完全なるジャケ買いで、初めて読む作家さん。久々の休日に、良く晴れた風の気持ちよい春の日に自分は何よりも穏やかさを求めており、その延長に女性作家の柔らかな筆致を求めていたのだろうと思う。
テラス席で『川のある街』の冒頭だけ読んだ。小学三年生の少女が見る世界の描写が鮮明で瑞々しく感動。まるで昨日まで子供だった日々を振り返るように書いており、作家の感性と記憶力、想像力はやはり常人とは違うなと思った。もし自分に子供がいて、大人になってから子供の感性に触れる機会に恵まれていたとしてもここまでの文章は書けないだろうな、とも。
加えておこがましいことだが、川に関しては自分が聖蹟に越してきてから書いていた小説と重なる表現があり、やられた、と思った。まじで何様だ
後者の『夏物語』は未読だが作家と内容とはなんとなく知っていて、この機に読もうかと文庫を購入。この小説は反出生主義の文脈で取り上げられることが多く、川上未映子自身もそれに関する対談をしていた気がする。
聖蹟のくまざわ書店は人文学書の新刊が充実している印象がある。今日は↑のようなコーナーがあった。おそらくは3月の現代思想が人生の意味の哲学を特集しており、その関連書籍が置かれていたのだろう。現代思想は2019年に反出生主義の特集を組んでおり、今回はそれに呼応する内容になっていそう。