2023の終わり

加藤み子
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 仕事が納まったと思ったら風邪を引いて、市販の薬で手をむくませながらこれを書いている。行きつけの蕎麦屋で天せいろを二人分予約購入してあるので、今夜はそれを食べてゆっくりする。年末年始らしいことはそれくらいしかしない。毎年。夫も私に似て年間行事が好きではないタイプなので、毎回相談もなくこのようになっていく。

 さて、2023年も終わるということで、今年始めに立てた目標の達成具合の自己評価をしてから来年の目標を立てた。今年は世界もこの国も膿が出たような一年で、今まで生きた中で最も死体を見た年だった。一刻も早い停戦と平和を願う。個人的にはまあよく過ごすことができた年で、根っからのインドアな私がこんなにフットワークが軽くなったのは今年の自分の成果だ。褒めてやろう。

 数ヶ月前、動悸がいやに気になったので循環器科を受診したら、僧帽弁閉鎖不全症と診断された。どうやら私はこうしている間にも心臓内で血液が若干逆流しているらしい。症状は軽度なのでひとまず経過観察となり、定期的に通院してくださいねと言われたが、心エコーで自分の心臓の動きを見た時間は妙な感覚だった(無意識のうちにもずっと働き続けているってすごいなあ)。趣味程度の運動であれば問題ないらしいがなんとなく気が落ちてしまって、それ以来ジムにも行っていない。自分は病とは無関係だとどこかで思っていた節があったのだなあと自覚して、そんな根拠のない「無敵感」が、私の中で着々と壊れていくのも実感した。身体は正確に老いていく。しかしアンケートで30代の選択肢を選ぶたびに思う。30歳の精神は思っていたよりずっと子どもだ。

 2024年は、私が私という大人であるために奮闘する年になりそうだ。それはきっと静かで、冷たくて、深いようで浅い孤独だろう。私として生ききり死ぬためには、避けて通れぬ道だ。孤独を受け入れ、孤独の中に自分という友を見つけて、社会と共に生きていつか死んでいこう。棺の中で後悔しないよう浪費を減らすのだ。その勇気。セルフケアと自己表現を絶やさない状態でそれが一定叶った暁には、きっと予定(森博嗣いわく理想)に近付けているのではなかろうか。

キム・ナムジュン「自分をコントロールすることは難しい。唯一できるのは、静けさの中で自分自身と友達になること。自分以外は誰も自分を救えません。時々は心が折れそうになっても立ち直れますよ」

&TEAMのYUMAくんが猫を抱いているイラスト