SNS、スマホ、依存性

Katashin
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Netflix で公開されている The Social Dilemma というドキュメンタリーがある。Facebook、Google、Twitter などの元社員が、SNS がいかに優秀な人たちによって、人を依存させるツールとして開発されているかが語られている。一番印象に残ったのが、SNS の客はユーザーではなくて広告主であり、ユーザーは製品だと言われていたことだ。

これを観てから、Recommendation に従ってコンテンツを消費し続けることに危機感を覚え、行動を分析されパーソナライズされるような設定はすべてオフにしていた。Google を使うのをやめて DuckDuckGo を使い始めた。このときは Twitter を使うことをやめはしなかったが、アプリをアンインストールして PC だけで見るようにし、触れる時間を減らそうとした。(結局後にまたインストールするが)

SNS もそうだが、スマホ自体にも依存性がある。暇になったら無意識のうちにスマホをいじって1時間、2時間と時間を潰してしまうこともある。SNS のように依存させる作りになっているものでなくとも、例えば、メールチェック、Slack のチェックをついついしてしまう。すぐ手の届く場所に無限のコンテンツへアクセスできるツールがあるというのは、実は結構恐ろしいことなんじゃないかと思う。

スマホ脳という本を最近読んだ。スマホをポケットに入れているだけで集中力が落ちるとか、SNS を熱心に利用するほど孤独感が増すとか、スマホが精神に与える多くの影響について書かれている。僕は技術書などは紙の本じゃないと読めないのだが、おそらくスマホやタブレットで読むと集中力が続かないのが原因なのだと思う。集中力を要さない漫画だけは Kindle で読めているし。

Twitter が X になってから、タイムラインに流れてくるコンテンツはどんどん悪くなっていった。まさに、The Social Dilemma で描かれていた擬人化された AI のように、この人を最も長く画面にとどめるコンテンツを流そう、この人にとって良いものかは知らない、といったものが日に日に増えていったように思う。

最も多く目に入ったのが、見る人の怒りを呼び起こすようなコンテンツだ。生成 AI の(ほとんど中傷のような)議論、有名人への罵倒、自己顕示欲を満たすためだけの技術記事とそれに対する反論……。人間はおかしなもので、こういったものを見て不快に思っているのだが、なぜかどんどん関連する情報を探していってしまう。僕は X でこういったコンテンツばかり見てしまっていたことに気がついて、自分は今、自分自身の心の幸せと時間を X に売り渡しているんだ、なんて愚かなんだろうと感じて X をやめることを決心した。

X をやめた記事を書いて、アプリを削除してブラウザからもログアウトしたが、しばらくするとやはり気になってログインしてしまう。投稿はしないが、タイムラインをしばらく見て、ああ、こんなことしてたらだめだと思ってログアウトするということをやってしまう。それでも四六時中触っていた頃よりは X に浪費する時間は減ったが、どうしても見たくなってしまう依存性は恐ろしい。

SNS やスマホのすべてが悪いわけではない。SNS でしか連絡の取れない友人もいるし、スマホで日常のさまざまなことが便利になっている。ただ、これらがどういった悪影響を及ぼしうるのかをしっかりと理解したうえで使うべきなのだろうと思う。