何かが変わるきっかけというのは、思いがけないタイミングで、しかも静かにやってくる。
独立のきっかけになったのは、とある先輩からITコンサルの仕事をご紹介いただいたことだった。ソフトウェア製品へのAI導入に関するご相談で、自分の経験と嗜好性からぴったりくるものだった。独立半年前のことだ。
このころ、自分の手帳には何の根拠もなく「45歳で独立する」と書いてあった。具体的な計画はなく、しかもそれを書いてから数年が経っていた。
もし独立するとしたら、自分の専門性からして中小企業向けにAIや技術経営含みのDXコンサルティングをするか、もしくは比較的大きな企業向けにピープルアナリティクスのコンサルティングや研修をするか、そのどちらかだと思っていた。
両方とも会社生活で思いを込めて仕事をしていたテーマだった。そして、どちらとも自分のポジションが上がるにつれて、あるいは組織的な都合によって手放さなければならない仕事だった。自分のやりたいことをやりつつ、ポジションとサラリーを守るというような器用さは私にはなく、自分の気持ちに蓋をしながら部長職をしていた。
独立するなら自分の気持ちに誠実でなければならない。
そう思っているうちに魅力的なオファーがやってきたのだ。これはつかむべき。上手くいかないことも多いだろうけどやってみるべし。そもそもやってみないと向ているかどうか、楽しいかどうかわからないではないか。
そう思って副業ベースでコンサルティングお仕事をはじめたのだった。
つづく