中小企業診断士に目を付け勉強をしてみたが、どうにも気分が乗らず挫折する、ということを繰り返してきた。経営戦略の話は好きで、20代のころから勝手に勉強していたものの、すべての科目が好きというわけでもなかった。この診断士熱の高まりとクールダウンは独立決断の直前まで繰り返された。
思えば、学生のころから資格取得は不得意だった。みんながこぞって取っていた英検もやってないし、情報工学出身なのに情報処理技術者試験にも手を出さなかった。
資格のための勉強でなく実学が好きで、だからこそ学ぶことも無限大にある会社に20年も勤めていたのだろう。理学よりも工学が好きなのも根っこは同じはずだ。
対照的に、管理職への昇進教育と試験は概ね楽しんで取り組むことができた。今は変わってきているけど、当時は管理職の昇進試験は大変難儀なプロセスで、悩む人もけっこういた。
でも、自分のアイデアを自分の好きなように語れるという一点で、とても楽しんで取り組めたと思う。上昇志向もなかったので、「落ちてもいいし、言いたいことを好きなように言おう」と思っていたのだった。
別の見方をするとプロセスを箱庭的な仕事として楽しんだともいえる。ステークホルダーは多くとも、そのプロセスは自分が手綱を握ることができるというわけ。逆に言うとそう思ってやらないと上手くいかない試験でもあった。
こんな風であるから、実課題に取り組みながら学ぶというスタイルでないと身が入らない。しかも興味がないと手を出すことすらしない。
独立前に唯一取得した資格はITコーディネータで、実践的であったのも大きい。何より、申し込んだ当時、データドリブン経営のKPI設定方法に悩んでいたので、ちょうどよい研修だった。この資格だけでいきなり飯が食えるかどうかわからなかったが、道を広げる狙いもあった。
つづく