寸胴鍋について

kujira
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僕は寸胴鍋(ずんどうなべ)を愛してやまない。

11月も寒くなってくると、いそいそと寸胴鍋を取り出して、まずはおでんを作る。昆布と鰹節で6Lくらいのだしをとって、大根やらさつまあげやら鶏肉やら、自分の好きな具材を放り込んで好きなだけ煮込む。鍋の高さは30cmもあるので、当然冷蔵庫には入らない。したがって、夜は我が家で一番寒い場所である廊下に鍋ごと置いていて、翌日温めて殺菌する。これで1週間くらい食いつなぐ。

それが終わると次はポトフになる。これで1週間は朝ご飯のメニューには困らない。僕は、朝食に温めたポトフと、バターをたっぷりつけたパンが食べられれば、かなり多幸感を覚える人間なので、冬にポトフは2-3回は作る。

12月に入るといよいよ寒さも深まる。つまりビーフシチューの時期だ。これも鍋にいっぱいに作る。パンをつけてもいいし、ご飯にかけてもいい。なにせ沢山つくるので、どっちにするかのケンカも起きない。平和だ。

大晦日にはお雑煮を作る。これもたっぷりのだしをとって、里芋・人参を煮込んで、適当に味を整える。食べる直前に焼いた切り餅をお椀に入れる。それを食べながら正月を過ごして、最後はうどんを入れる。食べ終わった頃に、ちょうど世間では仕事が始まる具合である。

鍋の名前はプロシェフと言う。

2020年の冬に買った。朝起きたパートナーが「ムショウにビーフシチューを作りたい。それも山ほど。」と言い出したのをきっかけに、業務用の調理器具を売っている店を探して買った。寸胴鍋はアルミ製なので軽い。いかにも頑丈で使い勝手の良さそうなやつだ。ブランド名は「プロフェフ」。

プロシェフで料理を作ると良い点は3つある。

まず1つに、とても美味しく作れる。この文章を書くために、初めてプロシェフについて調べたが、アルミ製の鍋はスープづくりに適当だそうだ。HPにそう書いてある。

「アルミは熱伝導に優れているので(ステンレスの13倍)、鍋全体からじっくり加熱される。内部の温度差が少なくスープ作りに適している」そうだ。たしかに、この鍋で煮込んだ鶏肉はホロホロになっていてめっぽう美味い。

2つに、家事の負担が限定的に減る。

家事のなかでも、献立を考えることは負荷の高い「考える家事」なんだそうだ。たしかに、やることが決まっている掃除や洗濯と比べて、献立を考えることは面倒くさい。献立が決まっても、買い物から料理そのものに至るまで、プロセスはプロジェクトマネジメントに近い。その点、プロシェフで一度に大量にご飯を作ってしまえば、しばらく料理に煩わされることもない。

3つ目に、大量の料理を作ることはなんだか楽しい。コストコなんかで食材がうず高く積まれている風景に快感を覚える感覚に似ている気がする。大量のビーフシチューが煮込まれているのを見ていると、楽しさまでフツフツと沸き起こってくる気がする。え、しませんか?楽しいのになあ。