風邪が治りきってないという理由で休日出勤はしなくていいよと言われ、友達と飲む予定も何日か前にリスケしてもらった、から朝から何もすることがなかった。だから散歩に出た。なんとなく会社や友達に後ろめたい散歩。風邪の残り香みたいなのがまだ体にあるから人と会うのも仕事もよくないし家にずっといる訳にもいかないから仕方なく散歩したんだって誰に言うでもない言い訳をぐるぐる考えてた。陽がかしいできた17時過ぎに家を出た。自転車で宛もなく知らない路地をぐるぐる走った。光ってるマンションが遠くに見えたのに近づいたらあんまりパっとしなかった。近くの煙草屋の軒先、煙草を一本吸った。公園を抜けて商店街を抜けた。マツダのCX-5が商店街の人混みの中に迷い込んでバックしてるところを見たくて自転車を折り返して眺めたりしてたら陽が沈んだ。知らない道を自転車で走っていると3月まで住んでいた街のことを思い出す。あの街に住んでいた頃も2万くらいで買ったシティ・サイクルで地図も見ず辺りを適当に走っていた。目の前の知らない道とあの頃の道を重ねてつよく懐かしく感じた。本当に懐かしいと思っているのはあの街に住んでいた時に会っていた人のことを併せて思い出しているからかもしれない、というよりむしろそれだけな気もしてくる。でも退屈で平凡だと思っていたあの街に戻りたいとすら思った。わたしはまだぜんぜん今の街を愛せていなかった。住所じゃなくて所在がほしかった。いつだって今がどん底な感じがする最近も、いつか懐かしめるだろうと一応信じてはみてみる。生活のよしみ。やがて知ってる道に出て唐突に旅は終わる。マックに寄って帰った。ああ素晴らしき土曜日の夜。一生土曜日でいてほしい。土曜日を愛している。思い出すのはいつも土曜日がいい。すべての美しい思い出は全部土曜日の中で行われているような気がする。絶対そんなことないのに 2024.5.11
酔い潰れたり面倒がって翌日になって昨日のことを書くことが多い
X: @kujuranosenaka