48 手に入れたつもりはないのに失った心地でいる

鯨日記
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最近考えてること。街に出たら無限に働き人がいるのにどうしてどこもかしこも「人手不足」なのだろう。私の横を並走しているサラリーマン/ウーマンが複合ビルに吸い込まれていく。一人、またひとりと吸い込まれていく。なのに人が足りない。わたしの職場も例に漏れず人が足りないと嘆く。駅、複合ビル、庁舎、飲食街、に吸い込まれていく働き人たちはどこにいくのだろう。複合ビルの重いガラス扉を押し開いた先にコンビニのバックヤードみたいな狭くて細い部屋があって「おつかれー」「社会人のフリ疲れる」「今日は中空き?」「うん、次は夕方の退勤ラッシュに合わせて街に出るシフト」と会話が交わされるのを想像する。それだったら納得がいく。人は多いのに人が足りない理由。少しマスクの下でニヤつく。ニヤつきながらわたしの職場のドアを開くとでもいつもの蛍光灯が無機質で退屈な光をわたしに投げかけていた。「社会人のフリおつかれ」と笑いかけてくる仲間はいなくて、一人心の中で呟いてみる。なんで働いてるんだろうな。誰からも頼まれていないのに。残業代も出ないのに4時間も残業してしまった。みんな適当に切り上げて帰っていくところとかを見るともう全部どうでもよくなってしまう。この考え方は危ない。わたしだけなんで、なんてことはない。自分のことを被害者だと一ミリでも思った瞬間に思考はどんどんわがままになっていってしまう。手網をひきしめなければ。でも正当な対価を得たい。転職するか。東京の知らない街で友人とお酒を飲んだことを思い出す。知らない街でお酒を飲みたい。知らない街はいつも私を赦してくれる。2024.1.12