155 コメダ

鯨日記
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コメダに行くのはいつも冬だった、と、差し出されたアメリカンから立ち上る湯気を見て思い出した。わたしは今外気温24度の中を自転車を漕いで来て、Tシャツは幾らか汗ばんでいた。なのに「研修中」の札を掛けた店員さんが水をくれた時に反射で「アメリカンをひとつください」と頼んでしまった。店員さんがその時一瞬怪訝な表情をしたのはわたしがメニュー表を開かなかったことに起因するものだと思っていたけれど、あれはわたしの浅薄さを憂う表情だったことに気づいて恥ずかしくなる、今まさにこの文字を打っている最中も冷めやまない熱を放ち続けるアメリカンを前に、私は為す術なく心配性の店員さんがくれた水を大仰に口に含む◆わたしにとってコメダ・コーヒーとは何か、ということについて幾らか長い文章を書くことができるけれど、それは今度noteにでも書こう。わたしにとってコメダ・コーヒーのすべては富士急ハイランド駅から徒歩5分の場所にあった「コメダ珈琲 富士吉田店」だった。若い日々が次々に追想される。いつも冬だった。窓の向こうには山梨の厳しい冬がもたらした雪が降り続いていて、駐車場に停められたミラの車内は外よりも冷えているように感じたものだった◆18時を過ぎても窓の外の見慣れぬ景色がよく見える。夏だった。2024.4.30