いつも社用車を運転している。それは一人で乗る時もあれば4人ほど乗せる時もある。私は基本的に他者にハンドルを譲らない。運転するのが大好きだから。でも今日は仕事の都合があり、私は後部座席に乗っていた。体の重心をずらしてだらしなく深く座るとなんだか親の買い物に付き合って車に乗せられた子どもになった気分で外の流れる景色を眺めていた。雨は雪に変わるかもしれないと信憑性のないウェザー・アプリが告げていた。あそこのうどん屋の脇あんな感じなんだ。あのアパートのあの部屋の人はカーテンを引かないタイプか。そうしていつも運転していて細部まで見ることのできなかった景色に色彩が生まれる◆来週仕事を退職したら次の仕事が始まる四月まで二週間のお暇をいただく訳だが何をしよう。旅に出ようと思ったが今月のクレジットカードの請求が17万円らしい。らしい、というのは私が私の人生を他人事と捉えていることの証左に他ならない。皆々様に誤解なきようお伝えまでしておくと、17万円ポンと払えるとそういう訳ではない。普通に払えない。胸中穏やかではない。身を切るように血反吐吐く思いで数千円を前後するだけの貯金を崩す。貯金がない時は方々に頭を下げて支払う。でもあまりそういった感情を添えずに「請求が17万円」という事実のみをツイートするから「こいつは17万円支払う財力があるのだなふふん」と思われたら心外である。そんな財力は断じて、ない。ノリと勢いで金を使うのが好きなだけだった。いつも後先考えずに「こっちの方が面白いかもしれない」という判断だけで人生の駒を進めているから四月から転職するという話になっている、が、本当に転職するのか?という疑問符が私の頭には常に浮かんでいる。私が疑問を抱いているということは一体誰がそんな馬鹿げた判断を下したのか。紛れもない私自身である。人格が乖離していくパリパリという音が聞こえる。でもどれだけ人格が乖離しても体は一つで、仕事終わりに立ち寄った雨の降るドラッグ・ストアでボラギノールを買った。今日は一日何を考えていても臀の痛みに意識を引き寄せられていくような一日だった。体のメンテを怠ったツケがこういう形でやってくる。こんな恥ずかしい話ツイートできるはずもない。日記という媒体が有難い。おまえだけが頼りだよ。2024.3.5
酔い潰れたり面倒がって翌日になって昨日のことを書くことが多い
X: @kujuranosenaka