189 ラスト・シーンの映画

鯨日記
·

朝の4時半にメール。「配達が完了しました。」玄関のドアを開けると足元にAmazonの小包がぽつねんと置かれていた。中には紫シャンプーとMKS(メイクキープスプレー)と眉マスカラ。それにしても朝4時半て、と思う。2024年問題の渦中だからこそ余計に申し訳なかった。4時半はやりすぎだと思う。いつもありがとう物流。おかげでちょうどいいダンボールが手に入った。いつかのメルカリのために取っておく◆甘ったるい平日昼下がりのマクドナルド。広い店内と席配置に起因する客の視線誘導が計算されたレイアウトが気に入っている。欲しいところに衝立があり、壁があり、他の客の視線を気にせずにすむ。いつも通りアイスコーヒーのMサイズがクーポンで130円◆元恋人を思い出すことが情けないことに増えた。元恋人と一緒に観た映画をマクドナルドのWiFi下でダウンロードして、家でひとりで観た。二時間の映画を観終わり煙草を一本吸った。いてもたってもいられなくなって冷蔵庫から缶チューハイを取り出して散歩に飛び出した。映画のサウンド・トラックを大音量にしてイヤホンで聴く。改札から吐き出される人の群れを見ながら、さっき観た映画のラスト・シーンのことを追想していた。 映画の中の男女は美しい別れ方をしていた。自分はどうだろうかと省みて、自分も他者もズタズタに傷つける別れ方しかしてこなかったと気づいた。あまりにも幼稚だ。映画に感情移入する資格もない。それでもあのエンド・ロールを夢みている。美しい一本の映画になりたい。映画をみたあとのわたしのからだはえいがになっている。わたしだけの映画 2024.6.5