今日解いた問題の一つに北極星の位置を求める問題があった。「北の夜空にみえるある星を点Aとし、4時間後に観察すると点Bの位置にそれはあった。北の夜空の星は北極星を回転の中心とし1時間に15°だけ反時計回りに回転移動するものとしたときの、北極星の位置である点Pを求めよ」というもの。問題自体は簡単で4時間×15°で60°星は移動しているから、線分ABを辺とした正三角形を作図した時に生まれる点Pが北極星になる。解説では線分ABの垂直二等分線を作図したのちに点Pを導き出していたがその理由が今もよくわかっていない◆北極星の問題を解いてなんとなく小学館の図鑑NEOを引っ張り出し地球の公転・自転ページを開く。北極点からみると地球は反時計回りに自転をしているもののその回転を肌で感じることはできない。でも台風やトイレの水が反時計回りに渦を巻くことが、なによりも地球が自転していることのなによりの証左(コリオリの力)であるとわかる……のか。北極点には方角の概念がない。自転するあらゆる惑星によって見え方や定義は変わる。南極点にとって北極点は南極点になり得る?ウーーーーーーン。難しい。宇宙のことを考えるのってすごく難しい。途方もない気分になる。自分がすごく遠くにいってしまった心地になる。一つ疑問になって調べるとまた別の疑問にぶち当たり、次から次へと湧き出る疑問を潰していくと今度は一番最初に解決したはずの疑問が再び揺らぐ。体調を崩す。少なくとも超過労働を終えた後のからだでやるものじゃないと思って図鑑を閉じる◆難しいことを考えると頭の良い人を思い出す。益川敏英さんという人がいる。2008年にCP対称性の破れを証明しノーベル文学賞を受賞した人。その人に頭を撫でられたことがある。何かの講演にいらっしゃって、わたしは当時小学3年生くらいで、なにもわからず益川さんの話を聞いていた。帰り際、客席の横を掃けて帰っていく益川さんにわたしは気がついたら歩み寄っていて、益川さんの掌がわたしの頭を包むように撫でた。母はそれにいたく感激し、事あるごとに「あんたは天才になるなあ」と言った。ただ母の期待もむなしくわたしは普通の大学に進学し普通に卒業した。益川さんの研究分野は大人になったらわかると思っていたのにトイレの水が反時計に回る理由にすらまだ納得がいっていない。中学生レベルの北極星の位置を求める問題の解答方法にまだ苦戦している。益川さんが隣にいたら笑って頭を撫でてくれただろうか。
仕事納めの兆しが梢から差し込み、明日が終われば積みあがった洗濯物も散らかった部屋も溜まった食器も綺麗になると思う。明日は忘年会が待っている。2023.12.27