193 眠たい/Sleeping Beauty

鯨日記
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友人の部屋で目が覚める。私が最初に起きて、私の寝言に反応するように他の二人ももぞもぞと体を動かした。机上には飲みかけのワイルド・ターキーとポテト・チップスとコカ・コーラと吸殻があった。昨日の延長線上のような今日。友人がシャワーに浴びている間に煙草を吸って、空き缶や吸殻が散乱したキッチンを少し片づけた。幼稚園の頃、友人の家に遊びに行ったけれど相手が一人遊びを始めてしまい、手持ち無沙汰になった私はその家にあったソファの下に放り込まれたおもちゃをひとつずつ取り出す遊びをしていたことを、なぜか脈絡もなく思い出した。手持ち無沙汰になると片づけを始めてしまう性格なのかもしれない。二人は今日も野球のゲームを見に行くとのことだったので午前のうちに別れ、毛玉のついたスラックスとひどい髪で一人電車に揺られる。タッパーに入れていたカレーの残りを食べたら急激な眠気が私を襲い、気がついたら読みさしの村上春樹を額の上に載せたまま深く眠ってしまっていた。吉本ばななの小説で眠り姫のような女の子が出てくる小説があったような気がするが、姫ではないだけでおおかたの部分で私もそんなところだった。張り付いたコンタクトの不快さで目を覚ますと時計は18時を指していて、外からは雨の匂いがした。私が眠っていた短時間の間に雨が降り、そして上がっていた。世界から取り残されたような、その残り香としての雨の匂いのようだった。切らした煙草とビールをコンビニで買って、Twitterのスペースをしながら川沿いを少し歩いた。部屋に戻ってビールを飲んで、チューハイを飲んで、チョコレート・ビスケットを齧って、ワインも開けた。未来のことはさておき、とりあえずは最高の日曜日だということにしておきたい 2024.6.9

@kujuranosenaka
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