132 ミルクレープ

鯨日記
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退屈だったので散歩に出た。ビオレの日焼け止めスプレーをもっと振ってこれば良かったと後悔する。川沿いに桜が咲いていて夫婦やカップルが桜の写真を撮っていた。適当に路地を歩く、前の人と程よい距離を開けて歩いていた。曲がり角で曲がると前の人がもうひとつ先の角を曲がるところで、尾行しているとしたら最適な距離だと思った。隣駅の喫茶店は満席だった。家族連れの卓に載せられたケーキには花火が刺さっていてそれがぱちぱちと弾けていた。チョコレート・ケイキが食べたくなった。中は1ミリの隙間もない濃密なチョコレートで、外も艶やかにチョコレートでコーティングされているような、そんな完璧なチョコレート・ケイキ。でも近所のパティスリーを覗いたけれどショー・ウィンドウには何も並べられていなかった。暑くて全部溶けたのだろうと思った。コンビニにもチョコレートはなくて、妥協でミルクレープを買った。セルフレジが「レシートをお取りください」と発声すると後ろにいた子どもがレシート、レシートと繰り返しながら母親の胸元をポカポカ叩いていた。道端に鳥のような死骸が落ちていて男の人が顔を地面に近づけてまじまじと見ていた。部屋に戻ると全部が発熱してるみたいに蒸し暑く熱が籠っていて、全部の窓を開けて換気扇を回して扇風機のスイッチを足で押した。ミルクレープのフィルムを剥がしてプラスティックのフォークで掬う。コーヒーを淹れようと思ったけれど熱い物を啜る気分にはなれなくて水道水を飲んだ。今日の最高気温は昨日より+5の21℃だと天気予報アプリが教えてくれた。2024.4.7

@kujuranosenaka
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