窓の下に寝転がってカーテンが膨らんだり萎んだりするのをずっと見ていた。今日が実質無職最終日みたいなもので、だからいつまでも午後の光を見ていたかった。明日は大雨警報が出ていて、だから見納めの桜を眺めるために散歩をした。川沿いに歩いていくと水面を花弁が流れていった。鯉が目的など持たぬ亡霊のようにひたすら同じ場所で鰭だけを動かし続けていた。川は澱んでい、赤い鯉は視認が容易だったが黒っぽい鯉は視認が遅れ、夜に目が慣れるみたいに川底をじっと見続けていると夥しい数の鯉がいることがわかった、流れてくる桜が鱗にひっかかって妖しく光を反射する姿はまるで梢の先から覗く月が水に映って揺らめいているように見えた。2024.4.8
酔い潰れたり面倒がって翌日になって昨日のことを書くことが多い
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