121 「確定した公共料金はただの生活の記録で」

月末は力量が試される。私は金銭管理が得意だという自負がある。きちんと支出と収入を計算し、ゆうちょ銀行の残高をギリギリまで使い込む。その月の収入のほぼ全額が支出として支払われていく。私の口座はお金が一時的に休んでいくサービスエリアのようだと思う時がある。たくさんの車が刹那立ち寄り、さほど時間も経たぬうちにそれぞれの目的地へと立っていく。サービスエリアに留まり続ける車はいない。留まってくれてもいい。そういえば学生の時富士の樹海近くでアルバイトをしていて、樹海入口にある休憩所の駐車場にイエローのフォルクスワーゲン・ビートルがずっと停まっていた。従業員の車だろうと思っていたある日「あれは樹海に入った人の車だよ。帰ってきてないってことはそういうことだろうね」とアルバイト先の人に言われた。樹海入口には自殺防止の立て看板が多く立てられていた。村上龍のデビュー作にもイエローのフォルクスワーゲンが登場した気がする◆思いつきだけで書いている。脈絡も何もない。今日は初めての病院に行った。転院という形で、やさしい先生だった。薬局には薬学部と思しき学生が職場体験（？）で働いていて、ベテランの薬剤師が常連と思しきおばあちゃんを学生にアテンドしていた。学生は緊張している様子で「季節の変わり目になりますので」という言葉を短い会話の中で二回言っていた。がんばれ〜◆病院には初診のため5分前に到着してくださいと言われていた。ラヴィットを観て久しぶりの晴れ間に洗濯物を干していたらあっという間に時間で部屋を出ようとしたらチェーンの二重鍵が知恵の輪みたいに絡まった。いつもは容易く解けるのに焦れば焦るほどそれらは固く心を閉ざしていく。私は焦りとストレスが限界値まで行き、最近買った電動ドライバーを押し当てて留め具ごと外して病院に行った。あまり人間を舐めるな。病院から帰ってきて書類を整理しているとここ2年間分の電気ガスの請求書が出てきた。眺めているとむせ返るような生活の匂いがした。今月もきちんと支払いを済ませた。学生の時は電気が止まったこともあったので、きちんと精算する度「一ヶ月延命できた」と思う。2024.3.27