今日は担担麺にしよう、と思った。日清の冷凍食品で販売されている大盛360gの汁なし担担麺。それをドラッグ・ストアで2つほど買って冷凍庫に備蓄している。仕事終わりで料理をする気力がない時や、無性にイライラしている時、友人とたらふくお酒を飲んだ日の夜なんかにいつも食べたくなる。今日はその3つの条件のうち2つをクリアしていたから食べようと決意して駅から家までのインターバルで自転車を漕ぐスピードを上げる。駅についてから家に帰るまでの徒歩20分、自転車だと10分程度の時間は今夜食べるものを決める時間だった。でも家に帰って冷蔵庫を開けると今日までが賞味期限の豚肉と目があって、でもわたしは担担麺が食べたくて、グルグルグルグル考えて結局豚丼を作った。肉をフライパンで焼いている間に冷凍庫からサランラップにくるまれたお米を取り出して電子レンジに入れ、さらに玉ねぎ1/2をザザザっと刻んで放り込む。適当に味付けしてどんぶりによそって卵を乗せてかきこむ。金麦がよく冷えていた。10分足らずで作った豚丼は5分足らずで食べきって、今この日記を書いている。
イヤホンの片耳から音が流れないようになった。ワイヤレス、といっても首にコードを掛けるタイプのイヤホンを愛用していて、同じメーカーのものをAmazonで買い続けて7年くらいになる。仕方がないから左耳を外して電車に揺られていると隣に座った男の人から小学校の友達の匂いがした。シャンプーや柔軟剤の匂いといった所だと思うが、それは明確に「友達の匂い」だった。◆その友達とは小学校3年生の頃に知り合って、休み時間に折り紙の銃で撃ち合いをしたり、公園でサッカーやデュエルマスターズに興じて、大学生になってからは一緒にお酒を飲みに行ったりした。わたしは冬の寒い日には彼の頬や首筋で暖を取っていたから彼の匂いにすぐ気がついたのかもしれなかった。彼と毎日のように遊んだ所とよく似た公園が見える駅に着いて、隣の人は席を立った。あの公園に戻りたいなと思う。公園でただひたすらぼーっとする日があっても良いなと思った、けれど1時間も経たずに飽きてしまうだろうと思い直す。「あの日に戻りたい」という衝動はあの頃と同じように日々をなぞる行為を通じて解消できると思ってしまう。けれど結局虚しさだけが残る。◆今日も仕事に行った。家の鏡ではかわいかったハーフアップが職場の鏡だとぜんぜんかわいくなくて、指のあかぎれは少しその赤の色味を強くしていた。昼間に見たその発色の良い赤が、わたしに担担麺を連想させたのかもしれなかった。2023.11.27