75 ナンをちぎる・プニャン

インドカレー屋に入ると3人の店員が「いらっしゃいませー」と言った。今日は12時間勤務で、だから少し長めに休み時間を取った。初めて行く店。いつも車を運転している時に通る道沿いで、いつか入りたいと思っていた。初めて入る店内なのにどんなレイアウトかを既に知っていたような気分になる。店主と思しき男の人が本日のおすすめを教えてくれたが声が小さくて聞き取れなかった。サラダ、ラッシー、キーマ・カレー、ナンの順に運んでくれた。わたしがナンをちぎっている間、彼は客用のトイレにある鏡で前髪を整えていた。テレビからは何語か分からない音楽番組が流れていた。（小さいナンってありますか）と頭の中で3回練習してからおかわりを頼む。出前館です♫という通知音がなり、数分空いてから重そうな腰を上げてそれぞれの調理へと向かう。みんなダルそうでとても良かった。ペイペイで支払う。インドの絵とビールの瓶と謎の柄のタペストリーが飾られていた◆ヘアオイルを丹念に塗り込むとか手のあかぎれにクリームを塗るとか絆創膏を巻こうとしてぐちゃぐちゃってなって一枚無駄にしてしまうとか無精髭を剃るとか目尻にバレない程度のアイライナーを引くとか伸びてきた爪を切るとか友人から貰ったパックで顔を保湿するとかそういうことをやる以前にやらなければいけないことがある。それは。ジャカジャカジャカジャカ…………痩せろ‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️です。はい。びっくりする。身長178センチ体重67kg。お腹が出ているわけではなく、かといって平坦でもない。わたしのお腹周りを擬音で言ったらなんだろう。一番下がペタン、一番上がボヨヨン、だったらプニャン……くらい。最近はインドカレー屋に行かない日は野菜を2日3日取らないこともZARAで身体が終わっていく音がする。危機感だけがある。わたしはこの中途半端で平均的な体を24年間ずっと持て余している。もっと危機感を持った方がいい。YouTubeショートで海外のサッカープレイヤーのスーパーゴール集を見ている場合ではない。腹筋とか割ってみたい。でもわたしはわたしの身体を持て余してはいるけれど別になんでも知っていると思っていたから、急になんか新しい要素とか病気が見つかるのだけはやめてほしい。わたしだけが知っているかわいい身体でいてほしい。来週また病院に行って、先生にわたしのからだを再定義してもらう。新しい自分になるのかもしれない◆「何者かになりたかった時期を終えた。それは何者でもない素敵な人らに出会えたから(意訳)」というツイートを見かけた。そんな時期はわたしにも確かにあった。何者かになりたかった時期。でも過去形にできている、わたしもその季節を過ぎたのだろうか？わからない。わたしは何者かになりたかったのだろうか、なれなかったとしても、わたしはそれでいいのだろうか。今飲んでいるお薬の関係で飲酒が禁止されているのだけれど、そういえば喫煙は何も言われなかった気がする。一本だけ良いですか？ありがとうございます。2024.2.9