64 タワーマンション、バンド・セット、レンタカー・セレナ

わたしが最近書いてTwitterに載せた小説を読んで大好きな後輩が作詞してそれを見せてくれた。コードも迷ってると言われたがコードが何かわからない。魔法のような音楽を作る友人が二人いてその内の一人。ウレシー。その曲をいつかバンド・セットで弾きたいと言っていた。生でそれを聴いたらもう人生なんてどうでもよくなるんだろうな。死んだっていいと思えるんだろうな。今日の仕事の疲れ全部とれた。午前中に引越しの初期費用を振り込んだ。182,830円。何が許せないとかじゃない。今月ボーナス振り込まれていなかったらどうするつもりだったんだろう。横浜わナンバーのセレナが前方に停まっていた。マユリカのラジオを聴いているところだった。うれしいな〜なんて思っていたら後部座席の窓が空いてカフェ・オ・レとレシートと包装フィルムが順番に路上に投げ捨てられていった。久しぶりにカスみたいな人間に遭遇した。その人間も出会い方が違ったら好きになれていたかもしれないと思うと不思議な気分だった。水族館に行きたい。水族館の水槽脇にある解説キャプションを読み込みたい。美術館でもいい。なにも覚えられず学がある訳でもないのに、文字を読み込むことで一丁前になれたような気になりたい。わたしには質問癖があるんだけど昨年聡明な人と美術館に行った時「この単語はどういう意味？」と聞いたら「これはね」と教えてくれて嬉しかった。自分の質問に真摯に答えてくれる人が好きかもしれない。これから好きなタイプは？と聞かれたらこう答えよ。あの質問いつも困る。私はいつかベンツあたりに乗ってタワーマンションに住んで有象無象を見下ろす予定があるのだけれど、そうなったらわたしはすべてに退屈を覚えてしまうんだろうな。いつか未来、今日を内包した今までの貧乏時代を懐かしく思うのだろうか。じゃあ何のために金を稼ぐんだろう。ほんとうに何のため？いやきっともっと考えたら自分の納得のいく答えに辿り着けそうなんだけどもうそこまで考える余裕が今日はもうない。貧乏の方が心が豊かな気がするなんて嘘だと言ってほしい。タワーマンションの窓から米粒みたいな通行人と車を見下ろして最高の人生だったって言わせてくれ。／2024.1.29